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王女の命令で堅物将軍を騙すはずが、なぜか手を組んで反撃することになりました  作者: RiePnyoNaro


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その28『ドレス引火事故調査報告会議』

「……以上、調査の結果、ディアナ王女殿下のドレスに火が付いた件には、魔術師が関与していると考えられます。」


エルンハルト将軍は『ディアナ王女ドレス引火事故』の責任者として調査報告をするため会議に出席していた。


ベルは助手として会議に同行し、エルンハルトの後ろに控えていた。


ベルたちの他、会議室にはイルマー宰相、大臣たち数名、そしてハリーをはじめとする王室専属顧問魔術師十名ほどが出席していた。


王女専属顧問魔術師レオンもその中のひとり。


議長であり引火事故の調査員でもあるハリー・ハルマンが手を挙げて発言する。


「僕が調べたところ、王女のドレスには発火魔法の痕跡がありました。」


周囲がざわついた。


「発火魔法の痕跡といえば、たしか『痕跡検査魔法』で検出するんだよね?」


「ハルマンさんは『痕跡検査魔法』も使えるのか!」


「あの難しい魔法を!」


「さすが!王室付き『筆頭』魔術師にして最上級魔導士ですな」


賞賛されて頬が緩んだハリーがベルに視線を送る。


ベルは微笑みを浮かべ、胸元で小さく拍手を送る。


エルンハルトは二人のやり取りに眉をひそめた。


王女付き魔術師レオンが気だるげに手を挙げて発言する。


「発火魔法の痕跡があったとしても、犯人の特定は不可能でしょう?」


別の王室つき魔術師が言った。


「そうですな。発火魔法なんて子供でも使えるんですから。会場にいた全員が容疑者だ。」


ハリーがうなずき


「魔法を使った痕跡は残っても、魔術師個人に特有の波長の紋様のようなものまでは特定できませんでした。」


失望したような声が上がった。


「じゃ犯人は分からずじまいか!」


「王様にどう報告すればいいんだ。大事な王女様の悲惨な事故だというのに。」


「エルンハルト将軍やハルマン君でも犯人追及が不可能ならどうしようもないな。」


「しかし、他に犯人を特定する方法はないのか?魔術師たちが新たな魔法を編み出せばいいんだ」


「証言をもう一度洗いなおせばいい。自白強制魔法は使ったのか?」


大臣や魔術師たちは好き勝手なことを発言し、その場は騒然となった。


ベルはこのままエルンハルト将軍の不手際として処理されることが心苦しかった。


犯人を見つける方法……何かないかしら?


あごに指を添えて考え込んだ。


ベルは会議室を見回した。


ここにいるのは、婚約発表会に出席していた王室付きの魔術師たちだ。


魔術師個人の波形を特定する技術は、まだ完成していない。ならば、犯人を特定するには別の方法が必要になる。


……あっ!


いい考えが浮かんだ。


でも、こんなことできるの?素人の浅知恵かしら?と思い、口に出すのをためらった。


けれど結局、エルンハルトに


「将軍、お耳を貸してください!いいことを思いついたんです。」


エルンハルトは体を動かし、片耳をベルに傾けた。


艶のある日焼けした頬と形のいい耳。


ハーブのような整髪料と石鹸の混ざった匂い。


ベルは胸の高鳴りを押さえながら、エルンハルトの耳に口を近づけた。


「こう言ってもらえますか?

時間をおいて………と」


エルンハルトは驚いたように眉を上げ、ベルを見てうなずいた。


それから手を挙げ、発言権を求めた。


ハリーは二人をじっと見てから、不機嫌そうに発言を許可した。


エルンハルトが


「火炎魔法の中でも発火魔法は初歩の魔術です。

とはいえ、未熟であるほど近い距離から杖を使わなければなりません。

熟練の魔術師なら遠くから、杖なしで、手をかざすだけでも、発動可能でしょうけれど。」


ある大臣が


「どういうことだ?上級魔導士の中に犯人がいるということか?」


エルンハルトが首を横に振る。


「いいえ。

犯人が誰であれ、婚約発表会という衆人環視の中でディアナ王女殿下に杖を向ける、という危険を冒すでしょうか?」


「それもそうだな…」


「確かに、人が少ない場所で襲えば簡単だ」


大臣や魔術師たちはうなずき合う。


将軍は続ける。


「犯人は容疑者が多い状況をわざと選んだ。

バレない自信があったからです。」


「なぜだ?」


「こういう方法を取ったからです。

王女殿下のドレスに時間がくれば発火する魔法、つまり『時限発火魔法』を犯人は仕掛けたんです。」


魔術師たちが一斉に顔を見合わせた。


「何だそれは?聞いたことないぞ」


「そんなものがあるのか?どうするんだ?」


「誰かが発明したのか?」


「ならやっぱり上級魔導士の仕業だろう?」


「いや、優秀な学生ならできるかもしれん。」


魔術師たちは口々に呟き、顔を見合わせた。


レオンだけは落ち着いた表情で議論の行方を見守っていた。


レオンは心の中で呟いた。


バカバカしい…時限発火魔法だと?そんなものあるわけない。


これで捜査は迷走するだろう。


だがエルンハルトの的外れな発言のおかげで、容疑者が上級魔導士の他にも広がった。


間抜けなやつがいてくれて助かったよ。


ハリーが手を挙げて発言する。


「なるほど。

時間がくれば魔法が発動する魔法?とは面白そうだな。

後で試してみよう。

では、王女殿下のドレスを調べその『時限発火魔法』の痕跡も確認すればいいんですね?」


エルンハルトはうなずいた。


ベルはまた何か思いついた表情で、エルンハルトに耳打ちした。エルンハルトはうなずき、再び手を挙げた。


「それと、婚約発表会の最中の様子を記録した水晶をお持ちの方は?」


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