↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王女の命令で堅物将軍を騙すはずが、なぜか手を組んで反撃することになりました  作者: RiePnyoNaro


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/13

その2『次の悪事』

「で、昨日の首尾は?どうだった?」


朝の光に柔らかい金髪が透ける。


フリル付き天蓋ベッドに腰かけたままで


王女ディアナが問うた。


ベルは朝食のシリアルとフレッシュジュースを置くと


「はい。

アルバ侯爵さまが婚約破棄を言い渡しました。

ご命令通りにそう仕向けました。」


ディアナは眠そうな目をこすり


「そう。

これであんたは嫌われ者ね。

上流階級では絶対に生きていけないわ。

いい気味よ」


ベルは唇を噛んだ。


華やかな世界に憧れはあったが、切望してたわけじゃなかった。


なのに、可能性の扉が閉じられたと知った途端、悔しさでいっぱいになった。


不満そうに口を尖らせた。


無意識に。


ディアナはそれを見咎(みとが)めた。


「何よ!その顔!

言いたいことがあるならいいなさいよっ!」


瞬間的に興奮しキンキン響く声で怒鳴った。


ベルは慌てて無理やり笑みをつくり


「いいえっ!

そんなっ!

言いたいことなんてございませんわ!

よろしければ失礼します。」


その場から逃げ出そうとすると


「待ちなさいっ!

次の命令よ!」


ベルは足を止めた。


ディアナは弾んだ声で


「そうね~~~

何にしようかしら~~~!

あっそうだっ!

エルンハルト将軍にしようかしら?」


ベルはうつむいたまま木偶(でく)のようにジッと固まっていた。


「エルンハルト将軍に近づいて情報を入手しなさい」


平坦な声でベルが


「何の情報でしょう?」


「国境警備兵の配置とか?

国内の軍事拠点とか?

彼がもってる軍事情報を入手しなさい」


「どのようにして?」


ディアナは蔑(さげす)んだように目を細めた。


「もちろん手慣れた方法でよ。

アバズレにはお似合いの。」


またアルバ侯爵のときのようにあからさまな色仕掛けで誘惑しろと?


ベルはアルバ侯爵の表情を思い出した。


傷ついた静かな怒り。


眉の端を痙攣させ爆発させないよう耐えていた。


そのあとの侮蔑的な眼差し。


ズキッと胸が痛んだ。


アバズレ、淫売、売春婦……


このままでは周囲の人すべてからそう呼ばれる日も遠くない。


ディアナが楽しそうな声で


「あら!

でもエルンハルト将軍はカタブツだから簡単じゃないわよ!

今まで誰とも付き合ったことが無いの。

同性愛者だって噂もあるくらい。

でも、一週間以内に情報を入手しなさい。」


ベルは両手をギュっと握り締めた。


奥歯を噛みしめた。


それを目ざとく見つけたディアナが尖った声で


「何よ!不満があるの?!

あんたの弟が飢え死にしてもいいの?」


ベルは首を横に振った。


「承知しました。

失礼します。」


王女の天蓋付きベッドから遠ざかりながらベルは思った。


なぜこんなことになったの?


最初は優しかった王女さまが。


何がいけなかったの?


もしかしてあのとき?


侍女として採用され初めて王女さま会ったとき。


これから身の回りのお世話をする主(あるじ)として期待が膨らんだ。


絹糸のような金髪、陶器のような白い肌、宝石のような青い瞳。


女子ならだれでも憧れる美しい容姿。


どんな方?


鼓動が速く、緊張で体が硬くなった。


優しい声で生年月日を聞かれ、答えた。


その途端、拒絶の帳(とばり)が降りた。


なぜ?


何か気に障ることをした?


息が苦しくなった。


先輩の侍女に理由を聞くと


「王女さまと生年月日が同じなのよ!

占いがお好きな方だから。

身分の低い侍女と『運命が同じ』だと思うと、気に食わないんじゃない?」


モヤモヤした。


そんなことで?


自分ではどうにもならないことなのに?


その後、頻繁に呼び出されるようになった。


私を睨みつけ


「あなたを調べたわ!

貧しい家族を一人で支えてるのよね?

命令に背いたら侍女をクビにするわよ!

わかったわね?」


それからは無理難題を押し付けられるようになった。


王宮という華やかな場所にいても気が晴れない。


できるだけ無感情に淡々と王女さまの命令をこなそうとした。


アルバ侯爵さまを誘惑し婚約までこぎつけ破棄させろ、という命令もその一つだった。


身分の低い世間知らずの街娘を装った。


私の演技をすべて見抜いてらしたかもしれない。


それでもアルバ侯爵さまは年老いた寡夫の寂しさから抜け出し、伴侶を得たかったのかもしれない。


婚約を申し込んでくださった。


それを裏切ってしまった。


申し訳なさで息ができなくなる。


胸が苦しい。


もう誰も傷つけたくない。


なのに―――


次はエルンハルト将軍?


あの無口で不愛想な?


私は一体……


どうすればいいの―――?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。