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I'tem(アイテム)~最弱のヒーローの物語~  作者: 西野大河
第3章 I-G
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デート・パニック 6




          ✩




「2人とも、藍はいたか!?」


「……いないわ。どこにもいない」


「こっちもだ」


 3人手分けして探したが、1階フロアに藍の姿は見受けられない。


「……なら、残る可能性は2つ。1人で外に逃げたか……それとも」


 流斗は2階への階段に目をやる。


「……こっちへいったか、だな」


「流斗!」


 光は流斗に呼びかけるとジーパンに着いていたI'temに手を合わせる。


「あぁ」


 流斗もその声に答えるように上に着ていたピーコートの下からI'temを取り出し、


「「解紋!」」


 両者は剣、盾を発現。


「刃、こっからは私達でやる。あんたはもう外へ──」


 そう言って刃を見た光は言葉を詰まらせる。刃のその目を据えた決意と覚悟の眼差し。

 とても「逃げろ」なんてことを聞きそうにもなかった。


「…………はぁ」


 光は言葉を詰まらせると、頭を少し掻きむしって。


「2人とも! 今から私がこの中に入っても大丈夫なように『紋字』をかけるから少し目を閉じてじっとしてて!」


 刃と流斗は光に言われたとおりに目を閉じると、光は盾を前に構えた。そして燈気を練り、


「『弐紋字・陣鎧ライファーム』!」


 3人の体の周りは淡いピンクの輝きに満たされる。


「……これで10分は持つ。だけど、10分を越えると自動的に解除されちゃうから、その前には藍を連れて戻る。いいわね!」


「「あぁ!」」


 3人は頷き合ってその黒い煙を轟轟と吐き出す入口に飛び込んだ。



          ✩



「おぉーい! 藍! いるのか!?」


「藍! いたら返事して! 藍!」


「藍! 返事をしろ!」


 3人は2階を隈なく探したが、藍の姿は見受けられない。


「……やはり、外に逃げたのか?」


「もしいたらシャレにならねぇ! 俺は3階に行く!」


「ちょ、ちょっと待ちなさい!」


 光が携帯のディスプレイで時間を確認した。あれから7分経過している。これ以上の長居は危険だ。


「……ダメ、あと3分しか持たない。一旦外に出て『紋字』をかけ直して出直し──」




──ドオオオオオッ!!!




『!?』


 上階から爆発音と振動。3人はまたも軽く体勢を崩す。そして、その衝撃で天井が崩れ、その瓦礫が3人に降り懸かった。


『……っ!?』




──ガラガラガラ……。




「……………つぅっ」


 なんとか3人は瓦礫を回避したが、


「……刃!?」


 その瓦礫は刃と2人の間に壁を作ってしまった。


「だっ……大丈夫だ! 生きてる!」


 とりあえず生きていることに光は一瞬安堵するが、安心してる場合じゃない。

 建物の倒壊も始まっていてこれ以上中に留まるのは危険すぎる。


「刃、早く3階に上がって近くの窓から外に飛び降りなさい! 紋字がかかってる間はこの程度の高さじゃ死なないはずだから!」


「……そっか。だったら、もう少し無理しても大丈夫そうだな」


「「!?」」


 瓦礫のせいで上に続く階段を登れるのは刃だけだ。なら刃が行くしかない。

 やっぱりこうなった。光は先刻より強く頭を掻く。


「あ~ッ! だからあんたを連れてくるの嫌だったのに!」


「2人は先に戻っててくれ! もし藍がいなかったら急いで窓から飛び降りっから! 受け止めてくれよ!」


「……刃、逃げるときは躊躇するなよ」


「あぁ」


「行くぞ、光!」


「えっ!? ちょ、ちょっと待って流斗!」


 そんな声と共に足音が遠ざかる。流斗が居てくれれば光に危険が及ぶことは無い。


「……でも、藍がいなかったらマジで行く意味はないんだがな」


 そう言いながらも、刃は黒い煙を一層吐き出す3階フロアへの階段に身体を向ける。


『…………』


「……ん?」


 その時だった。何か聞こえた気がする。刃はこめかみに手を当てて目を閉じた。


『……ち……っち』


 炎が燃える音の中でも徐々に聞こえてくるその声。


「……この声、どっかで……」


『こっち、こっち』


 刃の耳に聞こえたのは、綺麗な若い女の人の声。

 その声は刃を導くように3階の方から聞こえたように感じられた。


「……もしかして、逃げ遅れてる人がいるのか!?」


 刃はその声が聞こえる方へ走る。その、黒煙の中に。

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