第五十八話 ガードレール幽霊の話を聞きましょう、ですわ
「ふいー」
なんて、変な声をあげながら、奥の厨房から大学生ぐらいのお兄さんが出てくる。
おそらくバイトさんと思しきお兄さん。国木田君と同じようなモブ顔だわ。ええと、血のつながりはないのよね?
「なかなか難しいですね。また明日もよろしくお願いします!」
バイトのお兄さんが頭を下げて、自動ドアから出ていく。小さなお店だから、従業員用の通用口がないみたい。
「おや、お客さんかい?」
「あ、じいちゃん、ばあちゃん」
続いて厨房から出てきたのは、お店のエプロンを付けたおじいさまとおばあさま。二人ともやっぱりどこにでもいそうな顔で……なんだか、ここまでモブ顔ばかりと一緒にいると、自分が浮いている気がするわ。
いえ、銀髪紅眼だから、普段からある程度は浮いているのだけれどね。
「えーと、千和ちゃんと同じクラスの、伊妻先輩と高尾先輩」
国木田君がおじいさまとおばあさまに私とタカヒロ君を紹介する。
「よろしくお願いします」
私は二人に頭を下げる。
「そうかい。今日は守に何か用事かい?」
「いえ、実はおじいさまとおばあさまにちょっとお聞きしたいことが……」
とはいえ、国木田君に聞かれるわけにいかないし、何とか国木田君だけ外せないかしら。
っていう状況で、何とかしないといけないと思ったみたい、ケロちゃんが国木田君に声をかけた。
「国木田君、先週の『おそ松さん』録画してませんか? 見逃してしまって……」
「え?」
国木田君は一瞬私たちのことを気にしたようだけれど、すぐに天秤が『ケロちゃんと一緒におそ松さんを見る』に傾いたみたい。
「うん、じゃあ、奥で一緒に見よう!」
「はい! 助かります!」
で、二人仲良く奥に退場。男の子って現金よね。
さて、ケロちゃんにはあとで話すとして、私たちは目的を達成しなくちゃ。
「あのっ、私たち、ガードレールで亡くなった子について訊きに来たんですけど」
私はおじいさまとおばあさまに訊いた。すると、おじいさまは驚いた顔をして。
「剣君のことかい?」
と、私たちに訊いてきた。
ええっ!? ガードレール幽霊って、勇者ツルギと同じ名前なの? 偶然?
それとも、何かあるのかしら……?
伏線回収に向かって動いてまいりました




