第四話
最古の人類と言われているサヘラントロプスチャデンシス。ああ、覚えなくていい。ここで出てくるだけだから。
まあ、なんだか言いたくなっちゃうような名前ではあるけどね。
もちろん異論はさまざまあるけど、発見された2001年から有力な説として信じられている。2001年なんて、大分昔だから分からないか。
なぜ最古の人類となったのか、それは彼らの化石から直立二足歩行を行っていた痕跡が発見されたから。それまでの猿人は四つ足で歩いていたのに対し、これは今のホモサピエンスの先祖であると言えることから歴史の最も古いところに置かれるようになった。
では、なぜ彼らは二足歩行をしたのか。
もちろん、横に広い骨盤を持っていたとか、背骨がどうだとか、そういう身体的な、なぜ? に対する回答はいくらでもある。
ただ、私が言いたいのは、なぜ二足歩行になろうと思ったのか、ということなんだ。
そんなこと分かるわけないって? まあ、その通りだね。およそ700万年前の人がどう思ったかなんて普通分かるわけない。ただ推測することはできる。
最新の研究、つまり私の研究によると、これはやっぱり人間の最も優れた器官が関係してくる。
そう、脳のことだよ。回りくどい言い方をしたね。
脳が大きいから二足歩行、ということを言いたいんじゃない。もちろんそれもあるだろうけども。
では、少し話を変えて。
これはさっき言った最古の人類の化石、のレプリカ。
どう? って、特に感想はないよね。まあ、精々ホモサピエンスより形が原始的かなーぐらい。
でも、これはどうだい?
これは霊長類の進化の中で、人間と分岐したもう一つの方の化石、のレプリカ。一定の段階までは人類はこの生物と同じ進化をしていたけど、あるきっかけで分岐したんだ。
さて、その2つの化石を見比べてみて、何か気づいたことはある?
うん、うん。そうだよね。いいね、研究者の才能があるよ。
そう、こっちの方の頭部には空洞がない。
つまり、本来的には人類に脳が無かった、ということになるんだ。
どう、面白くなってきたでしょ。




