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20 瓜二つ

 「外の世界に、出たくないのか?」


 唐突に聞いた問いは、思わぬ答えになって帰ってきた。


 「…ハクがさみしくなるなら、出なくていいよ」


 その答えで分かって『しまった』。祷は悪い意味でも、No.517に瓜二つなのだと。


 初めの頃の祷に取り憑かれていたのは俺の方で、実際の祷は既に『大人』なのだと。


 まだ半年しか経っていないのに、その瞳には憂いと慈しみが滲み出ている。俺たちはこの半年ほとんど二人きりだったから、俺が祷を見捨てるように、祷も俺を置いていってしまうと考えているのだ。


 俺は祷がいなかろうと、これまで通りに生きていける。でも祷は違う。俺がいなかったときに戻れば、良くて餓死寸前の生存だろう。


 自分の経験したことがそれしかないから、自分が自由になる選択肢があったとしても絶対に俺を置いては行けない。


 本当に、嫌になるくらい瓜二つなのだ。俺の傍にいたい…、でも家族を守りたい。そうやって板挟みになった結果死んでいったNo.517に…。

 

 「俺はずっと一緒だ。だから、祷がしたいことをしろ」


 「…本当に?」


 「俺はいなくなったりしない。死にもしない。愛してやることはできないが、守ってはやる」 


 「なんで愛せないの?」


 本で幾つもの【愛】を知った祷は不思議に聞いた。その問いに、どう返せばいいのだろうか。


 「…俺が。俺が愛してしまった人は皆死んだ。だから俺はもう、誰も愛さないと決めたんだ」


 口角を上げて笑うと祷は淋しそうな顔をした。


 「ごめんな」


 「………」


 俺がそう言うと、ふるふると首を横に降った。


 「わたしを守ってくれるんでしょ? だから、大丈夫だよ。わたしはハクが大好きだから、いいの」


 キッパリと言い放ったのがどうも嬉かった。まだ人体に触れることはできないこの身体だが、それでもよかった。


 祷がいる。その事実だけで、この呪われた人生がだいぶ、救われた気がしたのだから。


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