落下
目がさめると、私は草の上に寝転がっていた。
重たい身体を起こして周りを見渡すと、もう一度意識を失いたくなるような光景が広がった。
一言で言えば森、明るく背の高い木が大きく私を囲み、すぐそばにある泉が、空から降ってくる太陽の光を浴びキラキラと輝いている。
泉の水は底まで透けて見えるほど透明度が高く、とても美しい。
まるで、この世のものではないような。
だがそれよりも驚くことがある。
起き上がった私の頭上を、羽の生えた小さな人がふわふわと浮いているのだ。
見た目は美しい女性だが、どう見てもサイズが小さい。
「あら?目が覚めたかしら?大丈夫?」
突然その妖精から声がかかった。
「誘拐…?夢…?どこここ…」
とうとう頭がキャパを超えたのか、私はもう一度意識を手放してしまった。ばたん。
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(ほら…だ…か…いった…しょ…)
(また…ね…っちゃ…った…よ)
(生き…る…の?)
キャアキャアと高い声で言い争う声で私は目覚めた。
起きたら元に戻っている…と願ったけれど、残念ながら私は草の上で横たわっていた。
「あ!起きたわよ!みんな静かに!!」
「ねえ見えない!私にも見せて!」
「きゃあっ押さないで!順番を守りなさい!」
恐る恐る目を開けると、小さな妖精が私を取り囲んでみなこちらを見ていた。
「動いたわ!生きてる!!」
「…あはは、どんな夢見てるんだか…」
「夢じゃないわよ。大丈夫?」
金髪のとても綺麗な女性が私に声をかけてきた。
女性といっても小さな妖精だが。
「だ、大丈夫です。あの、ここは一体どこなんですか?」
情報が追いつかない頭で精一杯出した言葉がこれだった。
「あなたは"向こう側"からこちらの世界に落ちて来たのよ。」
妖精は困ったように笑うとそう言った。
…地球じゃない違う世界に来たってこと?
簡単に言っちゃえば異世界…?
「でもおかしいわね〜こんなところに"向こう側"から落ちて来たことなんてなかったのに」
「あのっ、どうゆうことですか!?帰れる方法はあるんですか!?」
「まあ落ち着いて落ち着いて!順にゆっくり説明してあげるから」
小さな妖精の小さな手が、なだめるようにポンポンと私の頭を撫でる。もう意味がわからない。
学校から家に帰ろうとしていただけなのに、
私はどうやら、異世界に来てしまったようだ。




