端から見ると生き返り
40代の夫婦が墓所を歩いている。
妻はその手に花束を抱え夫に寄り添う。
(親より先に死ぬのは親不孝者だ)
ブオド・ラウ・デユーイーンは、14年前に亡くなった自分の娘を思い出しそう感じた。だが、彼女が亡くなってから不思議な事が様々起った。
本来、娘の死で落胆し、出かけなかったことで自分達が乗る予定であった馬車が落石事故を起こしたが命拾いをした。
それから、彼女の埋葬が終わると、何故かホクオー地方は帝国内でも有数の豊満な土地になった。全て、彼女が引き起こした奇跡とでもいうのだろうか。
だが、ブオドはそんなことなくても良かった。
(ただ、お前に生きていて欲しかった)
彼女は余りにも生まれ持った力が強すぎた。成人並みの魂を持っていなければ、体に魂が付いていけず死に絶える、と生まれ持ったときから余命宣告をされていたのだ。その魔力は彼女が生まれたときに世界から与えられた誕生石からも見て取れた。生まれた赤子よりも大きい赤い宝石……異常であった。
「あなた、そんなに暗い顔してたらあの娘が悲しむわ」
ブオドの妻、リオがそう言う。
「ああ、そうだな」
彼女を埋葬したときに踏ん切りは付けた。それに今は新しい家族もいる。
一際目立つ、森が目に入る。
ブオド達が彼女を埋葬した後、しばらくして彼女の墓の周囲が変容したのだ。まるで彼女を守るように佇んでいる。
命日には、こうして家族で墓を訪れては近況を報告する。もう一人の家族はしばらくしてから訪れる予定だ。
「相変わらずここは神聖な空気がするわね」
リオは深呼吸する。
ここは神殿の敷地内にありながら最も神聖な気を感じさせる。
大気中がものすごい量のマナで溢れている。
マナはこの世の神秘を引き起こす根源だ。マナは人間がエーテルというものに変換することで魔法や呪術といった神秘に用いることが出来る。マナがどこから来るのかは誰にも分からない。ただ、神殿が過去からの慣わしで年に一回この世全てにマナを満たすという儀式を行うことで充満するものらしい。
マナは宝石や鉱石といったものと相性が良く、内包しやすい。だから、質の良い誕生石を持つものは魔法と相性が良いことになる。
「いつも思うがこれほどマナが充実してると、普通は魔物の一匹も出るものだろうにな」
この不思議な場所に疑問を抱く。マナは人間以上に動植物には相性がいい。人間はエーテルというものに変換しないと使えないが、動植物は違う。マナのままで使うことが出来るのだ。誕生石を持つのは人間だけでなく力の強い誕生石を持つ生き物は、マナの力で巨大化したり強大な力を身につけたりする。
夫妻が森の広場へと辿り着く。
そこで夫妻な目を大きく開かせた。
まずは墓の近くに人が一人通れるほどの穴が開いているということ。
そして、
今はいないはずの彼らの娘が、草原の上で体を土色に染めて横になっているのだ。
「ナオ……」
これは夢か幻か。彼らの目は瞬く間に涙を滴らせた。




