なんで、どうして、土の下!?
(暗い、ここはどこだろう? )
鼻を突くのは土と木の匂い。
強い衝撃に会った後、直が気がついた後真っ先に感じたのはそれだった。
手で周りに探りを入れてみるとまるで木の根が自分を包み込むように土の中に空間を作り上げているようだった。
(ちょっと待て……土の中?)
どうしてそのような場所にいるのかは皆目見当も付かないが、現状の自分の有様を理解するとパニックになる。
(土の中って空気は!?)
実際は酸欠は起こらないのであるが、頭が一度そう思い込んでしまったら、息が苦しいと錯覚する。
突如頭の上に、土がパラパラと落ちてくる。
もう、それで頭は真っ白になる。このまま土砂が上から落ちてきたら、と思うと気が気でない。
本来であれば逆効果だろう。だが直は上に向かって手で掘り進める。土は意外と柔らかく、非力な小さな手でも、容易に掘り進めることが出来た。
右手がようやく地上に飛び出る。
直は一生懸命掴めそうなものを探す。
そして、手探りでようやく一本の棒を掴んだ。それは生暖かく硬いようで柔らかかった。
「ぎゃああああ!!」
そんな悲鳴と共に手が振り払われる。
咄嗟に掴んだソレは人間の足だったようだ。
(待って、助けて!)
そう声を出す前にその人間は逃げてしまったようだ。
(そんな!?)
直の中では今自分は命の危機に晒されているのだ。遭遇した人間に逃げられて落胆するが、黙っている訳にもいかない。
自分一人でも脱出しないと、そう決めた。
直は何とか土の中から出ようと木の根に足を掛ける。
外に出た右手で何とか体が通れそうなほどの穴をまるでモグラの様に開ける。
直の体感で2メートルほどある穴からようやく顔が出る。後はまるで足場にしてくださいと言わんばかりの木の根に足を掛けて下半身を土の中から出す。
(眩しい……)
土の中でもがいてまっ茶色になった体が地上に現れる。暗闇から太陽の下に晒されたことにより目がチカチカする。
(すごく空気が澄んでる)
疲労困憊した体を周りを木に囲まれた広場の草原で仰向けにする。
深呼吸をすると俗に言う"空気が旨い"というのが良く分かる。
(それにしてもここどこだろう……)
小さな体を横たえながら、直は自分の置かれたこの環境に疑問を投げかけた。
吹き抜ける風が直の頬を撫でる。
直が顔を横にすると小さな手が見える。ふと疑問を抱き上半身を起こすと頭が重い。
風が再び頬を撫でる。
"おめでとう"
何かがそう祝福したように思えた。
風にフワリと髪が舞った。




