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ノックしてから入りましょう

 ナオは、ブオドに書斎に呼ばれた。

 部屋の前まで来ていた。


(……ノックして入ればいいのか?)


 もちろん、ただ入ればいいと言う訳ではないだろう。貴族には貴族の、女性には女性の、そして、子どもには子どもの入り方があるだろう。

 直は両親に自分が中身が別人であると思わせたくないと、感じていた。墓所でナオが生き返ったとき彼らの喜びようは本物であった。

 また、このナオエリューシア自身だけではない、直としても再び両親というものに会えた時本当に涙が出るほど嬉しかったのだ。

 失いたくなかった。

 物事の始まりは……いつかの終わりを意味する。

 一度は両親の終わりを体験したからこそ、直が持つ終わりへの恐怖。

 その恐怖はナオの体を震わせた。

 ドアをノックすると、


「入りなさい」


 そう優しいくブオドが言った。

 恐る恐る、ドアを両手で開ける。


(子どもっぽく、子どもっぽく……って言ってもなぁ)


 直が知る女の子と言えば、紅莉だけである。

 天真爛漫で、天然ボケで……それでも、人を放っておけない。そんな彼女がいたからこそ今の自分がいる。

 

(ええい! ままよ)


 なるようになれと、ドアを開ける。開口一番出てきた言葉は、


「失礼しま~す……」


だった。

 安っぽいその言葉は、まるで職員室に入るような学生そのものだろう。

 いくらなんでもこれはない、とナオは落ち込む。


「フフフ」

「ん?」


 見ればブオドが微笑していた。


「いや、すまん。やはり年相応だと思ってな」


 どうやらブオドには今のナオの動作がきちんと少女のものに見えたらしく、ナオは安堵する。


「だが、そうも言ってられないのだよ。……まぁそこに掛けなさい」


 ナオはチョコチョコと歩いて、椅子に腰かける。その動作がまたブオドの微笑を誘うが、一瞬で顔を引き締める。


「ナオ」

「はい、父様」

「今のお前には酷な話なのだが言っておかなくてはいけないことがある」


 ため息を付いてブオドは話を始める。


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