宣告
ブオドは物悲しそうに話を始める。
「ナオお前自分の年を分かっているか?」
「えっ……と、4歳?」
精神年齢は17歳だが、ここはナオの年齢に合わせておく。
「ここからは難しい話になる」
娘がこの話に付いて来れるかブオドは不安になる。
「お前の年齢だが……戸籍と呼ばれる我が国での書類上は17歳と言うことになっている。何故かと言うならば、この国にはリターンズ――つまりお前のように一度死んで生き返ったものに対する決まりが無いからなんだ」
すなわち、ナオエリューシアは死んでいた期間も含めて17歳という扱いになる。
「当然、学校も|年相応≪、、、≫の所から編入することになる」
「ふ~ん」
意味は分かるが、直にはいまいち実感が無い。元は17歳なのだから、そのように扱われても不条理は感じない。
この話をしたときブオドは自分の娘のあまりの落ち着きぶりに驚きを隠せなかった。理解してないのかと思えば、そうではなくきちんと分かっているようであった。
だが、ここまではあくまで前座である。ブオドが納得できないのはここから先である。
「……ナオ。ここから落ち着いて聞いてほしい。お前の編入試験は半年後になる。」
それは突然の宣告だった。
「もし……受から無かった場合は?」
ナオの目にはブオドが脅えているように見えた。
「国か、学園か、教会のいずれかが、私達の監督が行き届かなかったとして、お前の身柄を連れて行く」
不条理だ、とブオドは机にやつあたりをする。一度は彼らはアーマジュエルという巨大な力に翻弄された。それが二度も……しかも今度はリターンズというおまけというには金箔まで付いて幸せを奪おうとする。ブオドはこれ以上の理不尽があるか、と机に当たるのも無理は無かった。
「……やってやろうじゃねぇか」
ふとナオの口からそんな言葉が|意図的≪、、、≫に出た。
ブオドはビックリした顔をする。
「父様、私に13年分の勉強を教えてください」
直にはゆっくりと歩みよってくる巨大な足にそのまま踏み潰される、という気はない。
脱することが出来る、いや逆に踏みつぶすぐらいの気迫をブオドはナオから感じる。
「もちろんだ……私に出来ることはなんでもやる。ナオがそれを望むなら」
まずは優秀な家庭教師の選抜からだ、ブオドはナオの気迫に充てられ、昔の凛とした姿が戻ってきたような気がする。
「お願いします!」
自分達の家族を壊そうとする者達へのあらがいと、未知の知識、技術への興味が、ナオの意欲を高めた。




