お着替えタイム♪
ナオは部屋に一人ぽつんとベッドの上に腰かけている。
自分に大きな魔法の才というものがあるのにも驚いたが、
――姉様はいろいろと狙われているんだ。
それには、もっと驚いた。
自国だけでなく他国。そして自国内においても、皇族、教会、学園等様々な所から目を付けられる存在だとシャルドは言った。
両親はナオが危険な目に会わないように根回しをして回っているのだという。
ナオの空白の14年の間にアーマジュエルがホクオーを肥沃な大地へと変えたのが一つの要因だった。
死者は教会の管轄であり、ナオが死んでる間にホクオーの教会は強大な力を得たのだという。
(それでも、もう一回"死ね"と言われるよりはいいけど)
ナイドにおいてリターンズは尊い存在として認識されている。直の世界なら死者が歩いたなら、即│除霊≪たおし≫てしまおうなんて考えがないのは一つの救いであった。
コンコン、と部屋がノックされ、ナオは一度考えを打ち切る。
「はい」
返事をすると、メイドが一人入ってくる。
「お嬢様、ご就寝の時間でございます」
メイドの手には、寝巻が掛かっている。
出来れば、せめて上着とズボンに分かれたパジャマを所望したいものだが、そんなものは無い。
「それでは失礼いたします」
そう言ってメイドは、ナオの着ていたシンプルなドレスに手をかける。
「いや、自分で出来るよ」
そう言ってはみても、メイドは微笑を浮かべるのみで、あっという間にバナナのように剥かれてしまう。
淡雪のような実だけになってしまったナオは顔を紅くする。
「さぁ、こちらにお着替え下さい」
そういってメイドは、直の便宜状としては"裾が長いだけで上着しかないパジャマ"と言い聞かせているモノを広げる。
自分の今の身は女の子なのは理解している。そして、昼間のような淡い色なら妥協も出来よう。
だが、今から着る……ようはネグリジェは、パステルカラーのピンクである。しかも、スカート部がフレア状、表はフリルになっている。
誰がどう見ても、女の子っぽいのである。
「申し訳ありません、お昼間のお召物といい、従者のお下がりで……。すでに、手配しておりますので」
直に対してその言葉は、ある意味絶望する。
(これで、メイドの服だっていうのか……)
もし、直が想像するような絵本にある、きらびやかなドレスを着たら……。思い描いただけで、顔が恥ずかしさで瞬間沸騰する。
「……では、お嬢様良い夢を。お休みなさいませ」
いつの間に終わっていたのかナオには分からないが気がつけば頭にフリルがまぶしいナイトキャップまで置かれていた。




