魔という名の神秘
シャルドは一般的な誕生石についてナオに教えてくれた。
「つまり、誕生石は持つ者の才を現しているんだ」
そこで話はナオ自身のモノに移る。
「で、姉様のアーマジュエルのことなんだけど。まぁ、普通に考えて異常だよね……」
シャルドが言うには、これほどの宝石が見ることはまず無いのだという。もちろん、直だって見たことが無い。
誕生石が持ち主の才覚を現すのならば、ナオの持つ魔法の資質は計り知れないのだと言う。
「その所為で早くに亡くなったんだけどね。内包するマナの余りの膨大さに姉様の魂が耐えられなく、眠るように逝ったらしいよ……」
ナオは自分の体を確認するも、特に異常は無い。
魔法と言う未知の才が自分にあると知り、ナオは興味が沸く。
「……ちょっと、姉様まさか魔法を使いたいなんて言わないよね?」
「なんで?」
シャルドは安堵した顔をする。「なんで?」と言ったことで本人にその気は無いのだとシャルドは感じたんだろう。
だが、ナオはそうは思っていない。
「なんで、使っちゃダメなの?」
その一言でシャルドがギョっとする。
直は、なんでもやってみるのが好きだ。そんな直に才能があるのに捨て置けというのは無理な話だった。
「だから、姉様はその力の所為で一度死んだんだよ!?」
「でも、今は大丈夫よ。じゃあ、いいじゃない」
シャルドはうろたえている。
「ちょっと待って、せめてもう一つの特殊さを説明させてよ」
「……分かった」
本当ならば、今すぐに使ってみたかった。でも、質問を問うたのはナオの方だ。
シャルドは気持ちを落ち着けて、話を始める。
「つ、次はリターンズについてだね」
…………
………
……
…
シャルドは、リターンズについて語った。シャルド自体リターンズという者について知っているのは伝説上の人物しかいないので大まかな説明しか出来ない。
「わかった?」
シャルドは不安そうにナオに顔を向ける。なぜなら、ナオが喜気とした表情をしているからである。
「つまり……アタイったらさいきょーネ?」
「まぁ、間違っちゃあいないけど」
ナオは終わりの見えない新しい自分の進むべき道に希望を見いだしていた。
シャルドは頭を抱えた。
先ほどまでは年上のように見えていた彼女は、一変今度は童心に戻ってしまっている。
命の危険の話をきちんと聞いていたのかと問いたいほどだ。
「とりあえずだね、姉様!!」
「はい!」
これだけは言っておかなくちゃいけないことがある、とシャルドは声を上げる。
「父様達はね、君の為に今動いている。その思いを決して無駄にしないでほしい」
自分は目の前の少女がどうなろうといい。だが、いなくなれば深く悲しむ者がいるのだ。
彼らの深く悲しむ顔はもう見たくないと、シャルドはそう言いくるめた。




