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そのころの義弟

「さてどうしたものかな」


 シャルド・デユーイーンは、頭を悩ませていた。

 シャルドはデユーイーン家の長男で、エイリバー家から来た養子でもあった。

 当時のシャルドは3歳であった。

 デユーイーン夫妻は娘を亡くしたばかりで深い悲しみの中にいた。

 そこへ家督継続の為に同い年の従者候補の少女と一緒にやってきたのがシャルドだった。

 彼は長い年月をかけてようやく家族の一人となった。

 その矢先、彼の姉とも呼べる存在が生き返ったのだった。

 この場合、彼女が第一子となる。4歳の姉と16歳の弟という奇妙な関係が成り立ってしまったのだ。


(なんか騒々しいな)


 廊下で侍女達がバタバタと走り回っている。


「ミリィ」


 シャルドは鈴を鳴らし専属のメイドを呼び出す。


「はい、シャルド様」

「何かあったのか?」

「どうやら、ナオエリューシア様がお部屋からいなくなったそうです」


 ミリィという名のシャルドと同い年のメイドは、顔を顰めてそう言う。


「そんな顔するな。子どものすることだ」

「ですが!? 」

「お前が心配することは何も無い」


 ミリィは、シャルドとエイリバー家からやってきた存在で、シャルドが家督を継ぐことを切に願っていた。


「お前も姉様を探しに行け」

「……はい」


 ミリィは不服そうにしながらもシャルドの部屋を後にする。


「さて、僕も探しに行くとするか」


 考えることが沢山あるとはいえ、彼女は両親が大切にしている存在である。

 彼女を任された身としては、このまま放置しておくことは出来なかった。

 第一、彼女は今まだ公に出来る存在ではない。もし知られたとしたら、付けねらう存在が沸いてくるだろう。

 生き返ったナオエリューシアとはそういう存在なのであった。


(とはいっても、子どもの足なら行ける所は限られているだろう)


 そう思い、シャルドはナオを探しに出た。

 窓の外を見れば、この館のメイドの6人の内3人が外を探していた。

 シャルドは二階の廊下を歩く。


(ん? 父様(とうさま)の書斎が開いてる?)


 何時もは鍵が掛かっている書斎の扉がかすかに開いている。

 シャルドがそこを見ると、そこにナオがいた。

 彼女の遺影肖像画の前に、一冊の本を開いて佇むナオ。

 何故かそれは幻想的に見え、息を呑んだ。

 一呼吸置いて、シャルドは姉を呼ぶ。


「そこにいるのは、姉様?」


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