ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのさん〜 05
ジュールはゆっくりと目を開けた。組んでいた手を開く。
“両手の拳が、淡く光っています”
両手を握る。
顔の前に拳を構える。
「シュッ! シュッ!」
そのまま、両拳で軽く牽制拳を打つ仕草をした。牽制のためのパンチなので、振りは小さい。右拳を打ち、直ぐに左拳を打つ。
打ち方のイメージが固まった。小さく息を吸った。
「いきますっ!」
右拳で牽制拳を打ちながら、単音節の神聖語を発した。
【C!!!】
気合弾の魔法 が発射される。
当然のように、レイブンが避けた。
次の瞬間、ジュールが左拳で牽制拳を打った。
【Db!!!】
もう1発の気合弾の魔法 が、レイブンに向かって行く。
最初の気合弾の魔法 を避けているので、レイブンの身体は右側に流れている。
2発目の気合弾の魔法 が、レイブンに直撃する直前。
「一度、見てるぜっ!!」
レイブンは右手を自然に下に下ろして、右腰に吊ったダガーの柄を握り込む。
親指で留め革を外し、ダガーを振り上げた。
キンッ!!
気合弾の魔法 を、見事に受け流した。
「レイブン様! 理不尽ですっ!!」
“受け流しですかっ?! 弾き飛ばすだけでも……理不尽ですのにっ!! 気合い弾の魔法、見えないですよね?!”
ジュールは、思わず叫んでいた。
「簡単には、当たらないぜ!」
“真っ直ぐ飛んでくる気合弾の魔法 だから、当たらないが……。いくらジュールでも、曲げないよな?!”
レイブンは、内心の動揺を完全に隠していた。




