ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのさん〜 35
「気合弾の魔法を分割して、連射したよね。その発想は、どこから来てるの?」
バルナスの問いに、ジュールが答えた。
「バルナス様が、仰ったのですよ。“魔法で檻を作る”……と」
「魔法で……檻?」
バルナスは記憶を浚った。
「あれ? それって、あの時の?」
思い出したらしい。バルナスの眼が、大きく開かれていた。
「あれって……僕なら、こうするよって意味だよ?!」
バルナスは、ジュールに乞われて自分なりの対戦士プランを語っただけである。
「バルナス様は、こうも仰いました。“戦士を牽制するなら、出来るだけ小さい魔法にしなさい ”と」
「確かに、言ったけどさ!」
バルナスは頭を抱えた。
「その発言を……どう解釈したら、気合弾の魔法を分割して、連射しようってなるのかな?!」
ジュールの答えは、冴えていた。
「言葉の通りに、解釈しました!!」
ドヤ顔が、とても可愛らしい。
「そっか……」
バルナスは、笑顔でジュールの頭を撫でた。ジュールの裸体が、視界に入りそうだったので、さり気なく抱き寄せることも忘れない。手を伸ばして、毛布を掛けた。
“君の裸体は……目に毒なの!! 僕の理性が飛んじゃうから!!”
「でも、レイブン相手には……牽制にならなかったよね?」
バルナスは、必死でポーカーフェイスを保とうとしていた。成功しているかどうかは、本人も半信半疑だったが。
「なりませんでした……」
ジュールが凹んだ。バルナスの眼には、幻の犬耳が見えていた。幻の犬耳は、力なく倒れている。




