ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのさん〜 31
毛皮を裏返す。この行為には、実は特別な意味がある。
通常の毛皮の場合、裏面(皮面)が鞣されている。
鞣す理由は……。
1. 腐敗を防ぐ (防腐効果) 。
2. 柔軟性と強靭さを出す 。
3. 耐熱性と耐水性を高める 。
ここで重要なのは「3. 耐熱性と耐水性を高める」の部分である。性行為による様々な水分が、マットレスにしみ込むのを防ぐ……という、防水シーツの役割を担うのだ。(皮面にこぼれた水分は、拭き取るだけでOKである)
つまり、バルナスの行為は……。ジュールに対する、お誘い……という意味を持つ。
「ジュール……」
バルナスが続けた。
「昨日ぐらいから……」
ごきゅ。
「子供が、出来にくい……時期に……なってた、よね?」
「お、お待ちくだひゃい……」
ジュールが飛び起きた。鞄の中から、2束の羊皮紙を引っ張り出した。バルナスと2人、おでこを突き合わせて、覗き込んだ。
2人が見ているのは、基礎体温グラフである。今朝の基礎体温が記入されていて、折れ線グラフが半分完成していた。
解読用のアンチョコと並べて比較すると、妊娠しにくい時期に突入しているのが分かった。
このアンチョコ、バルナスが賢者の学院の書庫で見つけた書物からの、抜粋である。書物のタイトルは「奴隷牧場の運用マニュアル」
奴隷の数を増やすには、奴隷同士に性行為を行わせ、妊娠させるのが手っ取り早い。そのために、妊娠しやすい時期を特定する必要があるのだ。
バルナスとジュールは……妊娠しにくい時期を特定するのに使っていた。まあ……若い2人だし……。




