ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのさん〜 27
「拳と肘、姿勢の違いは分かっただろ?」
「はい」
「見せられると、良くわかりますね」
「あんな不安定な姿勢で、気合い弾の魔法を撃ったら……反動で後ろに飛ぶ」
レイブンが続ける。
「それが分かってるから……神官は拳から撃つんだ。たぶん……」
急に自信が無くなってきたらしい。
“拳の方が、狙いが付けやすい……とかじゃ、無いよな?!”
レイブンの推測、あながち間違いでもなかったのだが……。真相は、闇の中である。
「だから……肘から撃つのは、やめとけ」
レイブンが真摯な様子でアドバイスを送っていた。
“膝もダメだと思うが……やらないよな?!”
「肘は……封印ですね。あとは……」
ジュールは、少し考え込んだ。
「膝も……危険です?」
「やめとけ!!」
“この、プッツン娘!!”
レイブンがすかさず否定した。
「あと、足の先も……ダメだぞ」
“言わないと、絶対にやるだろ?!”
「撃てる場所が……ありません……」
ジュールの眉が、へにょんとなった。
「検証は、ここまで!」
バルナスが、強引に話を打ち切った。
「バルナス様! まだやれますっ!!」
ジュールが、珍しく言い募った。
「やれても、ダメ!! 史上初の変態発動させといて、まだ検証?! そんなことは、絶対に認められません!! ジュールは、しばらく安静ですっ!!」
「いくらバルナス様でも、横暴ですっ!!」
「横暴結構!! いくよっ!!」
バルナスはジュールの腕を掴むと、そのまま借りている部屋に向かった。




