ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのさん〜 24
「ジュールが、吹っ飛んだ理由だが……」
珍しく、レイブンが説明役のようだ。
「姿勢が悪いんだ」
「姿勢……ですか?」
ジュールは、ピンと来ていなかった。
「拳と違って、肘は、身体が……ひらくからな。その状態で気合弾の魔法撃ったら、安定しなくて……吹っ飛ぶさ」
「???」
ジュールは全く理解できていない様子だ。バルナスは……なんとなく理解しているようだが、言語化できる自信は無さそうだった。
「ごめん。あたし、わからない……」
リリスは、コテンと首を傾げた。
「ああもう! 説明は、苦手なんだよっ!」
レイブンが吠えた。
「演武を見せた方が、はやいぞ。リリス、ガロン師、実践を頼む」
ドラナが助け舟を出した。
「ガロン師が、受け手。リリスが、攻め手。まずは、拳だ」
ドラナが演武の指示を出していく。
「リリスは、ガロン師に向かって、拳を打て。ガロン師は、受け止めて下さい」
「おっけ!」
「承知したぞい」
レイブンとドラナがベンチの前から退き、ガロンとリリスが、ベンチの前で対峙した。
「おっちゃん、行くよー」
リリスは顔の前で、両拳を構えた。軽くジャンプし、準備は万端のようだ。
「いつでもいいぞい」
ガロンは軽く、両手を開いた。リリスの拳を弾き飛ばすつもりらしい。
「う……りゃっ!!」
リリスが本気で拳を打ち込んだ。ガロンは、慌てず騒がず、手のひらで受け止めて見せた。
「なかなか良い拳だなっ!!」
「少しは揺れなさいよっ!! なんて理不尽なのっ?!」
リリスの体勢は、崩れていない。拳をつかまれるのを嫌い、すぐに後方に飛びのいた。




