ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのさん〜 21
「ガッツは認める」
レイブンは、尋ねた。
「で、本音は?」
「あたしだけ、転がされたら……負けたみたいじゃない」
リリスは、キッとレイブンを睨みつけた。
「逃げ時を誤るなよ。早死にするぞ」
レイブンは心配そうだ。
「あたしにも、立場ってモノがあるのよ……」
リリスは本気の様子だ。
「それでなくても小さいのに、臆病者って、思われるワケには、いかないの!」
レイブンは黙って頷いた。
「リリス。身体が浮いたら?」
「顎引いて、両手はバッテン! で、地面に叩きつけられる瞬間に、手のひらで、思い切り地面を叩く!」
「よし! 投げるぞ」
レイブンが、リリスを振り回し始めた。
「リリスが! 投げられるぞ!!」
「大丈夫なの?! リリスちゃん、なにかと理由つけて……鍛錬さぼってるよね?!」
そんな子供達だったが……。
「リリスちゃん、笑ってる?!」
「ほんとだ!!」
「わーお!」
「リリス、カッコイイ!!」
リリスは、不敵に微笑んでいた。だが、内心では……。
“怖い! 怖い! 怖い! あんまり、高く投げないでねっ!?”
バクバクしていた。
リリスが投げられようとしている。それを見て、神官戦士達が動いた。
腰を落とし、両手は前へ。軽く握った右拳を、左手のひらで、優しく包む。脇を締めて、待機する。バレーボールのレシーブの姿勢である。
レシーバーの隣には、別の役割の神官戦士が、1人ずつ待機していた。腰を落として、両手を広げている。レシーバーに跳ね上げられたリリスを、キャッチするつもりなのだ。




