ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのさん〜 20
列が短くなってきた。いつの間にやら、レイブンとドラナの列に、変化が現れていた。
レイブン側は、小柄で静かな子供。ドラナ側は、平均的で活発な子供。
「待たせたな!」
レイブンは、ひょいっと抱き上げた。
「いくぞっ!」
ぽーん!
“デカい兄ちゃん、カッコイイ”
女の子の感想。暑苦しいおっさんに比べれば、灰色熊でもカッコ良く見えるらしい。
“ドラナよりも、怖くない”
男の子の感想。危機感知能力が高いな!
「お兄さん! もう少し高くして! 顔が遠いの!」
レイブンに抱き上げられた女の子だ。
レイブンは、黙って要求に従ってやる。
女の子は、レイブンの首にギューと抱きついた。
“お姉さん達がやってた……オッパイ、あててんのよ、しちゃった! なんだろう。すごく、ドキドキする!”
「怖いなら、投げないで転がすぞ?」
女の子の内心などつゆ知らず、レイブンが尋ねた。女の子の紫色の瞳と、レイブンの灰色の瞳が交差する。
「あたし、リリス! お兄さんは?」
「レイブンだ」
レイブンはニッコリ笑った。
「レイブン、カッコイイ! 好きよ!」
リリスは、瞳に星なんかを浮かべてみた。あざとい。
「ありがとな!」
レイブンはフラットだった。
「で、どうする? 転がすか?」
レイブンが小声で尋ねた。
「投げて……ちょうだい……」
リリスも、小声だ。
リリスは内心、こう思っていた。
“なんで、誰も転がされてないの?! 馬鹿なの?! 馬鹿なのねっ?”




