ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのさん〜 17
「でっかい兄ちゃん! 今の、なに?!」
「なに?!」
戦神神殿の孤児院の子供たちである。中庭の隅で鍛練していたのだが、とても面白そうなイベントを嗅ぎつけたらしい。
「受け身の練習だ」
レイブンは、足を止めた。まとわりつく子供たちの頭を、軽く叩いてやる。
「受け身の練習?」
「あれが?」
「めちゃくちゃ、楽しそう!!」
子供たちは、大興奮である。
「ん? そんなに、珍しいか?」
レイブンは、膝をついて視線を合わせた。
「初めてみた!!」
「オレもっ!!」
「あたしもっ!!」
同時に喋るので、聞き取りにくい。ところが、レイブンには問題なく聞き取れたらしい。
「オレのいた傭兵団では、ありきたりなんだが、ここでは、やってないんだな……」
「やってないっ!!」
「楽しそう!!」
「兄ちゃん、オレも投げて!!」
「ずるいぞっ! オレが先だっ!」
「あたしっ!!」
「お前ら、受け身とれるのか?」
「あたりまえだろっ! オレ、上手いんだぜっ!!」
「オレ! オレの方が上手いっ!!」
「ばーか! いちばんは、あたしっ!」
「じゃあ、受け身を見せてみ」
レイブンは、声をかけた。
「両膝を外側に開いて……」
「ひらいてー」
「腰をおとして……」
「おとしてー」
いわゆる、蹲踞の姿勢である。
「顎引いて……」
「ひいてー」
「両手を、胸の前で交差させて……」
「ばってんー」




