ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのさん〜 15
2.レイブンの受け身講座。
時間は、数日遡る。戦神神殿に、分割回復魔法教導の名目で、冒険者4人組が到着した。
戦士レイブン。魔術師バルナス。ドワーフの神官戦士ガロン。神官戦士ジュール。
ガロンが戦神の神官で、戦神神殿の神官に教導する。
ガロンのパーティメンバーであるジュールは、大地母神の神官である。
本来であればジュールは関係無いのだが、パーティの若手を一緒に教導する……という建前で、同行しているのだ。
朝食後の時間に到着した4人は、二手に別れた。
ガロンと、ジュール。おまけのバルナスが、癒しの間へ。(魔術師であるバルナスは、癒しの間では……役に立たない。普通なら……)
レイブンは、中庭で神官戦士達と模擬戦。この時点では、鞘付きの得物での模擬戦だったのだが……。
数日経ったら、お互い真剣での模擬戦になっていた。
言うまでもなく、怪我人続出である。どうやら、回復魔法の教材を……量産しているらしい。
閑話休題。
昼食を済ませた4人は、中庭に集まっていた。日課の訓練のためである。
柔軟体操を済ませ、剣帯を付けようとしたジュールを、レイブンが抱え上げた。
「れ、レイブン様っ?!」
レイブンの右手が、ジュールの首の後ろ。左手が、膝の裏である。
「受け身の練習するぞ。ジュール、身体が浮いたら?」
レイブンは、有無を言わせなかった。
「顎を引いて、両手は胸の前で交差。地面に叩きつけられた瞬間に、手のひらで地面を叩く! です!」
ジュールは、反射的に答えた。
「よし。投げるぞ!」
レイブンは、ジュールを左右に振り回し始めた。
大人が赤ちゃんに行う、ぶんぶんぶん……ぶーん! である。
「レイブン様!! 下ろして! 下ろしてくださいっ!」
“怖い! 怖い! 怖い!!”
ジュールが必死で言い募っている。もちろん、レイブンは気にもとめない。




