第十八話「咆哮する四神」2
第二章 歯車の迷宮
正面ゲートでの激闘が続く中、城の側面。 断崖絶壁に張り付くように設置された巨大な排気ダクトの前に、三つの影があった。
白雪美流愛、そして双子の亞莉愛と華琉愛だ。 さらに、鉄鏡花はダクトの入り口にある制御盤にコネクタを接続し、ハッキングを行っていた。
「……セキュリティ突破。侵入経路、確保」
鏡花の義眼が、暗闇の中で赤く明滅する。 ダクトのファンが停止し、一行は内部へと滑り込んだ。
そこは、城の裏側――メンテナンスエリアだった。 だが、その光景は異様だった。ノクタルニア特有の古びた石造りの回廊に、虹海のハイテクな電子回路やパイプラインが寄生植物のように絡みついている。魔法と科学が悪魔合体した、極悪なダンジョン。 廊下がのたうち回り、レーザーグリッドが通路を塞ぐ。
「……気持ち悪いわね」
美流愛が、壁のパイプをヒールで蹴った。 中を流れているのは、あの赤い液体――『青い涙』の原液だ。 この城全体が、ドクター・メイの技術によって改造され、一つの巨大な兵器と化しているのだ。
「お姉様、あちらに生体反応!」
アリアが叫ぶ。曲がり角の先から、規則正しい行進音が響いてきた。 現れたのは、無機質な銀色のボディを持つ人型兵器の集団。 頭部にはカメラアイ、両腕にはブレードや銃器が換装されている。
ドクター・メイの技術で作られた、新型オートマタ兵団。 かつてノクタルニアで戦ったメイド型よりも遥かに戦闘的で、無機質だ。
「……排除シマス」
合成音声と共に、オートマタたちが殺到する。 その数は数十体。狭い通路を埋め尽くす鉄の波。
「片付けるわよ。……静かにね」
美流愛が、ドレスの裾を翻した。その動作は、まるで舞踏会でパートナーの手を取るかのように優雅だった。 だが、彼女の手から放たれたのは、殺意の銀糸。
シュッ!!
マイクロフィラメント・ワイヤーが、先頭のオートマタの首に巻き付く。美流愛が軽く指を弾くだけで、鋼鉄の首がバターのように切断され、宙を舞った。
「雑魚が。……私のステージに上がる資格もないわ」
「お姉様、素敵です!」
「私たちも続きます!」
双子が左右に展開する。アリアがククリナイフを投擲し、カルアがワイヤーで敵の足を掬う。三位一体の連携。 それは、機械の演算速度を凌駕していた。音もなくワイヤーが首を締め上げ、ナイフが回路を断つ。 悲鳴さえ上げさせない、完璧な隠密戦闘。
数分後。 通路には、スクラップの山が築かれていた。
「……ふん。準備運動にもならないわ」
美流愛は、乱れた髪を直しながら先へと進む。
「制御室へ急ぐぞ。……メインシステムを落とさなければ、灯たちが進めない」
鏡花が促す。彼女たちは、城の中枢――魔力と電力が集中する制御室へと到達した。
そこは、巨大なモニターとサーバーラックが並ぶ、サイバーパンクな空間だった。 鏡花は、壁面のメインコンソールにコネクタを突き刺し、ハッキングを開始した。 視界に流れる膨大なコード。 それは、アヴァベルの魔力と直結した、呪いのようなプログラム。
「……見つけた。中枢へのアクセス権限、および防衛障壁の解除コード」
鏡花がエンターキーを叩こうとした、その瞬間。
ザザザッ……!!
モニターに激しいノイズが走り、画面が真っ赤に染まった。 そこに表示されたのは、嘲笑うような悪魔の顔文字。
『不正アクセスを検知。……排除シマス』
「チッ……! 罠か!」
鏡花が叫ぶと同時に、天井のハッチが開いた。
ズドオォォォォン!!
重厚な着地音と共に、巨大な影が落下してきた。 それは、通常のオートマタの倍以上のサイズを持つ、重武装の警備ロボットだった。 両肩にはガトリングガン、胸部には高出力レーザー砲。 全身を対魔法装甲で覆った、動く要塞。
「……侵入者ヲ、殲滅シマス」
ロボットが、ガトリングガンの銃口を鏡花に向ける。
「鏡花は作業を続けて!」
美流愛が、鏡花の前に立ちはだかった。彼女は、改造ペンライトの光刃を展開し、不敵に笑う。
「ここは私たちが食い止める! ……アンタは、灯のために道を開けなさい!」
「……了解した。3分で落とす」
鏡花は、背後の戦闘音を無視して、再びコンソールに向き直った。信頼。 背中を預けられる仲間がいるからこそ、彼女は自分の役割に集中できる。
「行くわよ、シスターズ! ……スクラップにして差し上げなさい!」
「「はい!お姉様!!」」
美流愛と双子が、巨大ロボットに向かって飛翔した。 プロデューサーとしてではなく、冷徹な殺し屋としての瞳で。 狭い制御室で、鉄と火花が散る死闘が始まった。
自分が読みたい物語を書いています。
可能な限り更新できるようにしていきたいなぁと思っています。
(制作に関してAIを利用しています)




