第十八話「咆哮する四神」1
第一章 ラストワルツ開幕
夜明け前。 世界が最も深く、冷たい闇に沈む刻限。 聖地アストエル郊外、アギトの丘は、嵐の前の静けさに包まれていた。だが、その空気は張り詰め、触れれば切れそうなほどの殺気に満ちている。
丘の上に立つ久遠灯は、愛用のS&W M500を夜空へと掲げた。 その瞳は、眼下にそびえる巨大な黒い城郭――魔王アヴァベルの玉座を見据えている。 恐怖はない。あるのは、1000年の因縁に決着をつけるという、静かで熱い闘志だけ。
「……行くぞ、野郎ども!」
灯が引き金を引いた。ズドンッ!! 乾いた銃声が、夜明け前の静寂を切り裂く。それは、世界の命運を賭けた最後の戦いの幕開けを告げる、開始のゴングだった。
「……パーティーの始まりだ!」
その声を合図に、大地が震えた。
魔王城の正面ゲート。そこには、アヴァベルによって生み出された無数の異形軍団が待ち構えていた。 機械化された悪魔、魔物化した騎士、そして自我を奪われたキョンシーたち。 城壁を埋め尽くすほどの絶望的な数。
だが、それらに向かって突撃する五つの影には、躊躇いなど微塵もなかった。
「先陣はワシらが貰う!」
先頭を走るのは、小柄な老人――陳 幽寂だった。 彼は走りながら、上着を脱ぎ捨てた。 露わになった鍛え上げられた肉体から、白い気が湯気のように立ち昇る。その気は瞬く間に巨大な虎の幻影を形成し、老人の背後で咆哮した。
四神・白虎。 西の守護者にして、武の極致。
「退けェェェッ!!」
チェン爺が、城門に向かって掌底を突き出した。『白虎・剛掌』。物理的な接触はない。放たれた衝撃波が、空気の壁となって城門を直撃した。
ドゴォォォォォォン!!
爆音。 厚さ数メートルはある鋼鉄の城門が、紙屑のようにひしゃげ、内側へと弾け飛んだ。 門を守っていた前衛のキメラたちが、衝撃波に巻き込まれてミンチになり、宙を舞う。
「遅れないでよ、じっちゃん!」
その右翼から、紅い閃光が走った。李 小蓮だ。真紅のチャイナドレスを纏い、背中には炎で織られた朱雀の翼を広げている。 彼女は滑るように戦場を駆け抜け、すれ違いざまに敵を焼き払っていく。 触れるもの全てを灰に変える、神の炎。
「ヒャッハー! 水浸しにしてやるぜ!」
左翼からは、チャーリー・Sが続く。彼は地面を蹴ると同時に、地下水脈から漆黒の水流を呼び出した。 水は彼の意のままに形を変え、巨大な津波となって敵陣を飲み込む。凍らせ、砕き、圧し潰す。 絶対零度の重水が、機械化された悪魔たちの回路をショートさせ、動きを封じる。
炎と氷。 対極の力が戦場を掻き回し、鉄壁と思われた防衛ラインを瞬く間に食い破っていく。
そして、上空。
「合わせなさい、響!」
「おうよ! ……最大出力だ!」
王 麗琳が巻き起こした青い旋風に乗って、辰巳響が飛翔した。 二匹の龍が、螺旋を描きながら上昇していく。風が雲を呼び、雷が空を割る。
東洋の龍と、大陸の青龍。 二つの最強種が共鳴し、超高密度の雷雲を呼び寄せた。
『双龍・雷光嵐』。
バリバリバリバリッ!!
天から、光の雨が降り注いだ。 それは無数の落雷だった。 一撃必殺の威力を誇る雷撃が、雨あられと敵軍団に突き刺さる。 装甲が溶け、悪魔が消し飛び、大地が焦土と化す。まさに、神話の再現。 個の力が、軍隊という「数」の暴力を圧倒的に蹂躙していく。
「……すげぇ」
後方で待機していたH.L.O.H.の残党たちが、その光景に息を呑んだ。これが、大陸を守護する四神の力。 人間が束になっても敵わない「災害」そのものだ。
「……元気ね」
魔王城の最上階、玉座の間。 モニター越しに戦況を見下ろしていた魔王アヴァベルは、退屈そうに頬杖をついた。彼女の瞳には、焦りも恐怖もない。 ただ、予定調和の演目を見るような、冷めた退屈だけがある。
「でも、ただの暴力じゃ私の城は落ちないわよ」
アヴァベルが、優雅に指を鳴らした。 パチン。 その音が、城全体に響き渡る合図となった。
ズズズズズ……。
城壁が変形する。 石垣の一部がスライドし、そこから無数の黒い砲塔が出現した。ドクター・メイの技術と、魔界の魔術を融合させた、対神獣迎撃システム。
「消えなさい」
砲塔が一斉に火を噴いた。 魔力砲の弾幕が、雨のように四神たちへと降り注ぐ。
自分が読みたい物語を書いています。
可能な限り更新できるようにしていきたいなぁと思っています。
(制作に関してAIを利用しています)




