第十三話「緋色の侵食と銀の飢餓」2
第二章 天を焼く翼
辰巳響が、御所の窓を蹴り破って夜空へと躍り出た。 『七色龍珠』によって強制的に活性化された龍脈エネルギーが、彼女の全身から青白い稲妻となって噴き出す。
「朱雀ァァァッ! テメェから先に焼き鳥にしてやるよ!」
響は重力を無視して加速し、上空に張り付く炎の巨鳥――朱 焔陽目掛けて一直線に突っ込んだ。 雷撃を纏った右拳が、朱雀の土手っ腹を狙う。
「……ハエが」
だが、朱雀は動じることなく、翼を一振りした。 それだけで、爆発的な熱風が発生する。
ボオォォォン!!
「ぐっ!?」
響の突進が、熱の壁に阻まれて弾かれる。 炎と雷が衝突し、空中でプラズマ爆発が起こる。
一方、地上。 庭園に着地したベルベット・ミラーが、邪魔な『天刑衆』を血の荊棘でなぎ払いながら、御所へと歩みを進めていた。
「あら。元気な龍ね」
ベルベットは上空の響を一瞥し、くすりと笑う。彼女の狙いはあくまで「開かずの間」にいる美咲だ。響の相手は朱雀に任せ、彼女は扉へと手を伸ばす。
「行かせない!」
その時、頭上から鋭い風切り音が響いた。 王 麗琳だ。彼女もまた、響に続いて窓から飛び出し、新生・青龍としての姿を現していた。 青い鱗のガントレット、背中に広がる風の翼。
「そこを退きなさい、ベルベット!」
リーリンが着地と同時に腕を振るう。カマイタチのような真空の刃が、ベルベットの足元を切り裂き、進路を塞ぐ。
「……あら。虹海の番犬が、よその庭で吠えるの?」
ベルベットが足を止め、面白そうにリーリンを見上げた。
「ここは私の街ではないわ。……けれど」
リーリンは、毅然と言い放った。
「私の『友達』が大切にしている場所よ。……その聖域を、貴女の薄汚れた靴で踏み荒らさせるわけにはいかない!」
「フフッ。……生意気な口を利くようになったじゃない、出来損ない」
ベルベットが煙管を振るう。傷口から溢れた血が鋼鉄の荊棘となり、リーリンに襲いかかる。リーリンは風を纏ってそれを回避し、カウンターの爪撃を放つ。
だが、その時。
「邪魔だ、小娘!」
上空から、朱雀が急降下してきた。響を熱波で吹き飛ばし、そのままの勢いでリーリンの頭上へと迫る。
「くっ……!」
リーリンは反応し、頭上に風の障壁を展開する。 だが、朱雀の質量と熱量は桁違いだった。
ドゴォォォォォン!!
障壁ごと、リーリンの身体が地面に叩きつけられる。御所の庭園がクレーターとなって陥没し、土煙が舞う。
「が、はっ……!」
リーリンが血を吐く。彼女一人では、朱雀とベルベット、二体の怪物を同時に相手にするのは荷が勝ちすぎる。
「弱者め。……消えろ」
朱雀が、倒れたリーリンに向けて巨大な火球を生成した。至近距離からの焼却。 リーリンは動けない。
「やらせるかよッ!!」
その火球が放たれる寸前、横合いから雷光が走った。響だ。彼女は空中で体勢を立て直し、落下エネルギーを利用して朱雀の側頭部に飛び蹴りを叩き込んだのだ。
バチィィィッ!!
「グウッ!?」
不意を突かれた朱雀がよろめき、火球の狙いが逸れる。逸れた炎が庭木を焼き払う。
響はリーリンの前に着地し、仁王立ちになった。 全身から煙を上げながらも、その瞳は獣のようにギラついている。
「響……!」
「遅れてわりぃ、相棒!」
響は、ニカっと笑った。
「一人でカッコつけてんじゃねえよ。……こいつらは、アタシらの獲物だろ?」
「……ええ。そうね」
リーリンも、痛む体を起こして笑い返す。 二匹の龍が並び立つ。東の龍と、大陸の青龍。二つの異なる龍脈が共鳴し、周囲の大気を震わせ始めた。
「さあ、第2ラウンドだ」
響が右手に蒼い雷を、リーリンが左手に碧い風を収束させる。
「まとめて吹っ飛ばすぞ、リーリン!」
「合わせなさい、響! ……最大出力でいくわよ!」
「「オオオオオオオッ!!」」
二人の咆哮が重なった。 風が雷を呼び、雷が風を熱する。最強のシナジーが、朱雀の炎を、ベルベットの荊棘を、真正面から押し返し始める。
神話の再来。 燃え盛る古都の庭園で、龍と不死鳥(朱雀)、そして吸血鬼の頂点による、三つ巴の死闘が幕を開けた。
自分が読みたい物語を書いています。
可能な限り更新できるようにしていきたいなぁと思っています。
(制作に関してAIを利用しています)




