登校
思いがけない評価をいただき、驚きで急いで次の話を投稿します。
読んでくださる方々ありがとうございます。
朝の7時すぎ。
俺と珠稀がリビングで朝食をすませて寛いでいると、俺の両親が起きてきた。
「珠稀ちゃん、おはよう。流人も早いのね」
「最近の流人は前にも増して早起きだな」
「母さん、父さん、おはよう。まったく、呑気なもんだな。誰のせいでこんな早起きすることになったと思ってるんだか」
「あら、その様子だと早速使ってみたのね。どう? 珠稀ちゃんの全身黒タイツ姿にムラッときちゃったりした?」
実の親ながら、朝から息子になんちゅう話題を振るんだか。
「ムラッとの変わりに、多少イラッとはしたな」
「お父さんもあれ好きなのよ」
「お前、珠稀ちゃんの前で照れること言うなよ」
なんだろう。
このまま相手をしていたら、イラッとからムカッとに俺の怒りがランクアップしそうな気がする。
それにしても母さんは、お父さん「も」って言っていたが、それは俺も全身黒タイツを好きじゃないと成立しないはずだ。
だが、もちろん俺にそんな趣味はない。
はあ、俺の周りには母国語であるはずの日本語が不自由な奴が多すぎて困る。
「母さん、朝から、いらん情報をありがとう。だが、あんなものが似合うのは母さんくらいのもんだぞ」
「あら、流人、ありがとう。でも、いくら似合っていてもあれで出勤は出来ないのよね」
「当たり前だ」
「行けたとして、近所のコンビニくらいかしら」
「そのコンビニに俺が行けなくなるから絶対に止めてくれよ」
「冗談よ、最近ウエストがキツいから止めとくわ」
「すまん、ウエストの問題じゃなく止めとけよ」
俺のイヤミもさらりと笑顔で受け流す母親のスルースキルの高さを再認識しながら学校に行く準備を整えて出発する。
「りゅうと、私、今日は少し寄っていくところがあるから先に行っててね」
「? 学校前に寄るとこなんて、コンビニか? だったら俺も飲み物を買いたいし一緒に行ってもいいぞ」
俺の提案に対して、珍しく珠稀が表情を曇らせる。
何かまずいこと言ったか?
「うーん、りゅうとには言ってなかったんだけど、私、呼び出されているんだよね」
「呼び出しって、誰に?」
「隣のクラスの火村崎君」
「ふーん、そうなのか。じゃあ、先に行っておくから授業に遅れるなよ」
「うん」
俺と別れて待ち合わせ場所に向かう珠稀を見送る。
しばらく通学路を1人で進み、ふと思う。
火村崎といえば、おそらく3年の火村崎蓮という男子生徒のことだろう。
あまり他のクラスの生徒に詳しくない俺でも知っているくらいの有名人。
わりと強豪のうちのバスケ部のエースにしてイケメン、人当たりもいい人気者だったはずだ。
普通が服を着ているような俺とは、人としての存在値が桁違いなのは間違いない。
そんな人気者で有名人が何故珠稀なんかを呼び出すんだ?
いや、わからないふりしてはいるが実は心当たりがないわけじゃない。
俺も風の噂くらいだが聞いたことくらいはある。
火村崎が珠稀に想いを抱いてるんじゃないかと。
それを聞いたときは物好きもいるもんだなと思ったもんだが、今は状況が変わった。
今の俺は珠稀の夫だ。
珠稀が火村崎にどんな返事をするかはわからないし、そもそも本当に告白されるかすらわからない。
本当の珠稀を知ったとき、火村崎がどんな反応をするかもわからない。
だが、俺の嫁のせいで誰かが不幸になるのを黙ってみているだなんて寝覚めが悪すぎるだろ。
このままでは確実に不幸になる人間が出てしまう可能性がある。
動く理由としてはそれだけで十分だろ。
俺は動き出す。
「火村崎、まだ早まるんじゃないぞ」
拙い文章なので、途中変更なんかがあると思います。
生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。




