↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崖っぷちの僕ら  作者: 茜想作
PR
7/15

真亜智先輩と宇宙人対策訓練

「そうだ、有坂、頼みがあるんだけど……

部活に付き合ってくれないかな?」

マナちゃんを見送った直後、真亜智先輩がそんな事を言いだした。

「……今日は探索に行かなかったんですか?」

「うん、先生や弥生塚さんの提案で、今日の調達は午前中で切り上げたんだ」

「じゃあ、このまま宇宙人を探しに?」

そう尋ねると、真亜智先輩は首をふる。

「あ、いや、今日は対策訓練をするつもり……最近はできてなかったから。

それで、付き合ってくれるかな?」

「ちょっと待ってくださいね」

そう断って、右のポッケから腕時計を取り出す。

……時間は14時40分。

確認と同時にチャイムが鳴り始める。

「いいですよ、ちょうど勉強時間も終わりましたし」

「ありがとう、有坂!」

そう言って笑う先輩。

ノートを破って、みづき宛に書き置きを残す。

そうして僕らはグラウンドへ向かった。


「……それで、訓練って何をするんですか?」

グラウンドの端、木々が少し多めの場所で真亜智先輩は立ち止まる。

その右手には、靴箱で回収した青シャベルがあった。

「簡単だよっ!

想定パターンに基づいて、それをはやくこなすだけの単純作業さ。

……有坂には、タイムを測って欲しいな」

そう言って、彼女はジャージのポッケからストップウォッチを取り出した。

「使い方、わかる?」

「大丈夫ですよ」

僕がそう答えると、彼女はオッケー、と言いながら、青シャベルで素振りをする。

「じゃ、今日の対策パターンはNo.1987!

透明宇宙人対策訓練!

よーい、ドン!」

「え、あ、はい!」

意味のわからない単語に混乱しながらも、ストップウォッチを起動。

そして先輩は、手にしたシャベルで穴を掘りはじめた。

……これは、何の訓練なんだろうか?

やがて、ある程度土をひっくり返すと真亜智先輩は突然走り出す。

「え? 先輩!?」

「そこで待ってろ、有坂!」

そう言って、水飲み場まで走ると、水をシャベルで受け止め、再びこちらへ戻ってくる。

そして、耕された土に水をかけ、再び水飲み場へ。

それを数回繰り返すと、そこはすっかり泥沼みたいになっていた。

「よしっ!あとは……」

そう言って、真亜智先輩はジャージの上着を脱ぎ捨てる。

そして、なぜか泥沼の上で躊躇なく転がりはじめた。

「は? え? 何して……」

「もちろん、透明宇宙人対策だ!」

そう叫んで、更に泥を顔に塗りたくる。

五分後、先輩はハニワみたいな色になっていた。

「よし、フィニッシュ!

何分!?」

「えっと、5分27秒……」

「コンマ以下は?」

「05、です」

そう告げると、真亜智先輩は残念そうに笑った。

「いやあ、コンマ05の壁は厚いなあ……」

「……なんで、透明宇宙人対策で泥まみれに?」

その質問に、彼女は胸を張って答える。

「ああ、この泥で体温をごまかして、奴らの視界から逃れるのさ!」

……それは特定の宇宙人対策ではないだろうか?


まあ、でも、少し真亜智先輩の事がわかった気もする。

「……そのシャベル、穴掘ったり、泥作る為に持ってたんですね」

「……んにゃ、違うよ?」

僕の納得はなんかすぐに否定された。

「正確には、それだけじゃない。

これは掘ってよし、刺してよし、払ってよし、殴ってよし……いわゆる万能器具なのさ」

……なるほど?

「ちなみにシャベルでもない」

「……スコップって、事ですか?」

「スコップは先が尖ってないだろ?

……そうじゃなくて。

こいつは『ヴォーパルソードII』!

宇宙人、ジャバウォック用の最終兵器さ!」

……さすがは先輩だ。

わからない事が増えたのはわかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。