アラサー派遣の懐石料理と、実家二世帯住宅の影。そして杜の都のギルド宿舎・カール争奪戦
底辺作家が書く底辺生活者の話
大体実話。
Xに載せてる散文をまとめています。
金曜日 昼
朝6時
実家からの電話で叩き起こされた。
「8時まで来なさい」
母の有無を言わさぬ一言。
僕には
「イエスかハイで答えなさい」
と聞こえた。
もちろんハイである。
外を見る。
薄曇り。
でも雨は降っていない。
それだけが救いだった。
今日は祖父の23回忌。
正直、祖父の顔もよく覚えていない。
ふと気付く。
”僕、スーツ持ってたっけ?”
慌てて実家へ電話した。
「母さん、僕のスーツそっちにある?(´;ω;`)」
電話の向こうで
(・д・)チッ
と聞こえた気がした。
「お兄ちゃんのあるから早く来なさい!」
怒られた。
朝7時前。
隼号で実家へ向かう。
兄のスーツを借りて体裁を整え、祖母の施設へ。
久しぶりに会った祖母はまた一回り小さくなっていた。
「かーくん、帰ってきたか?大きくなって……」
大きいです。
もうアラサーです。
派遣です。
心の中でだけ答えた。
その後は墓参り。
読経。
親戚。
慣れないスーツ。
蒸し暑さ。
汗だく。
やっと終わったと思ったら。
これから料理屋を予約しているらしい。
僕の受難はまだ終わらない。
◆
金曜日 夕方
つかれた。
非常につかれた。
会食は普段僕が食べることのないようなご馳走だった。
和食の懐石料理みたいなやつだ。
刺身。
天ぷら。
煮物。
焼き物。
お吸い物。
たくさん出てきた。
でも
味は全く覚えていない。
親戚のおじさん達が次々話しかけてくるからだ。
「奏、仕事はどうだ?」
「そろそろいい人いないのか?」
「お前は昔から優秀だったからな」
お願いです。
僕に話しかけないでください。
(´;ω;`)
泣きそうになりながら
「ハイ……」
としか言えなかった。
近くで母が
「余計なこと言うんじゃねえぞ」
という顔をしていたし。
全部終わって祖母を施設へ送り、実家へ戻る。
改築した二世帯住宅は大きかった。
土地と頭金は両親。
家は兄夫婦。
僕には一生無理だなぁ。
そんなことを考えながら、いつもの服に着替える。
帰ろうとした時だった。
「あ、奏」
母が呼び止めた。
渡されたタッパーの中には懐石料理の残り。
「痩せたでしょ。食べなさい」
さらに封筒も渡された。
「生活の足しにしなさい」
「え?」
「今日の日給よ」
そう言って母は笑った。
外に出てこっそり中を見る。
一万円札が二枚入っていた。
僕の日給より多い。
・:*+.(( °ω° ))/.:+
とりあえず業務スーパーに寄って帰ろうと思う。
◆
金曜日 夜
お財布の中身を一円単位で気にすることなく業務スーパーで豪遊した。
戦利品を隼号に積み込み、部屋へ帰る。
いた。
まじでいた。
いてほしくないやつが。
( ´ⅴ`)ノィョ―ゥ
お前いいもん持ってたなー!!
(; ・`д・´)!?
嫌な予感がして箱を開ける。
ヤラレタ。
僕のカールが・・・
大奮発して買ったカールが・・・
三袋も食われていた。
(´;ω;`)
僕もまだ食べてないのに!!
しかも海斗は懐石料理のお持ち帰りタッパーまで開け始めている。
「いいじゃん!米持ってきたし!」
許せん。
あ。
まさか颯太に連絡・・・・・・
(=゜ω゜)ノぃょぅ
「お前んとこにカールが箱であるって聞いて。」
くそおおおお!!
_| ̄|○
カールは一袋までだ!
海斗、お前はもうダメだ!
あ!そのタッパーは僕の晩飯!!
怒号が飛び交う中。
前給姫だけが、ちゅーるとかつぶしでご満悦だった。
気が向いたら読んでみてください。
カクヨムにも同じ話をのせてます。
よろしくお願いします。




