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杜の都のろくでなし〜人生いかにタコにスルメ〜  作者: 雪森蓮


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すき焼き様降臨!!

底辺作家が書く底辺生活者の話

大体実話。

Xに載せてる散文をまとめています。


金曜日、朝。


今日は前給のモーニングコールがなかった。


その結果

少し寝過ごした。


外はまだ雨。


少し肌寒い。


「……帰りたい」


まだ家を出てもいないのに思った。


海斗はもう出かけていた。


昨日あれだけ酔っていたのに、

相変わらず元気なやつだ。


ピコン。


LINE。


海斗だった。


『昨日はサンキュ!』


『飯うまかった!』


『前給に飯やっといたからな!』


『感謝しろ?』


『今日の夜は土産ちゃんと持ってくから!』


『よろしく!!!(ΦωΦ)』


「…………」


前給(猫)に免じて

生卵は一つまでにしてやる。


そう思いながらキッチンへ向かった。


「…………」


買い置きしていた朝飯用のパンが消えていた。


「…………」


「やっぱり卵なしだな」


長谷川奏は固く決意した。


でも。


今日は金曜日だ。


今日の夜は。


すき焼きだ。


牛肉様1キロだ。


その事実だけを胸に抱き、

奏はビニール傘を開いた。



金曜日、昼。


奏はビル近くのツルハで昼飯を調達し、

休憩室でもそもそ食べていた。


夜はすき焼き。


夜はすき焼き。


肉。

肉。

肉。


その事だけを考えていた。


スマホを開く。


銀行アプリ。


「……よし」


前給が入っていた。


これで家賃はいける。


もう一回使えば、

支払いもギリ何とかなる。


今月も生き延びられる。


次にXを開く。


「……お」


フォロワー。


10人になっていた。


二桁だ。


タイムラインには、

投稿サイトで見かける人達のポストが流れていく。


PV5000達成。


フォロワー1000人ありがとう。


書籍化決定。


眩しかった。


奏は静かにXを閉じる。


窓の外を見る。


雨はもう上がっていた。


「……ま、いっか」


肉を持ってくる奴がいる。


野菜を持ってくる奴もいる。


勝手に家へ上がり込むけど。


リアルフォロワーなら、

二人もいる。


今日の後半も、

何とか乗り切れそうだ。


そう思った。



午後13時47分。


奏は眠気と戦っていた。


講師の説明。


右から左。

左から右。


ほとんど脳を素通りしていく。


しかし。


彼には希望があった。


牛肉様。


1キロ。


実家野菜。


生卵。


そして休み。


「……あと数時間……」


長谷川奏。


現在HP3。


MP0。


所持金不安。


しかし。


すき焼きバフ発動中。


「長谷川君?」


「( ゜д゜)ハッ!」


生きろ。


長谷川奏。


牛肉様は逃げない。


多分。


海斗が勝手につまみ食いしなければ。



金曜日、夕方。


すき焼き。


すき焼き。


僕は鼻歌混じりで帰宅していた。


ドアを開ける前から、

甘辛い割下の匂いがする。


「あいつらもう来たのか」


部屋へ入る。


「遅かったな!」


当然のように海斗と颯太がいた。


テーブルの上では、

すき焼きがぐつぐつ煮えている。


「海斗!

 お前今朝僕のパン食っただろ!」


「あー。

 腹減ってたんだよ!」


悪びれもしない。


「詫びにこれ!」


指差した先。


段ボールだった。


トマト。

きゅうり。

キャベツ。

白菜。

春菊。

ネギ。

椎茸。

えのき。


さらに。


農家直送感しかない卵。


大量。


隣には近所のベーカリーの食パン。


「…………」


「まぁ、

 許してやるか」


僕は手を洗い、

席についた。


今週のことは。


とりあえず。


牛肉様を食べてから考えようと思う。



気が向いたら読んでみてください。

カクヨムにも同じ話をのせてます。

よろしくお願いします。


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