表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
杜の都のろくでなし〜人生いかにタコにスルメ〜  作者: 雪森蓮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/129

春の東北全部入り鍋~結局付けているエアコン(冷房)を添えて~

底辺作家が書く底辺生活者の話

大体実話。

Xに載せてる散文をまとめています。


五月。


西日の差し込む部屋は、

外の気温よりずっと暑かった。


古いアパート。


熱気。


微妙に回る扇風機。


奏はエアコンの送風だけを軽く入れる。


冷房はまだ早い。


電気代が怖い。


「……よし」


スーパーで買った、

キャベツともやしのカット野菜を鍋へ放り込む。


水。


冷凍餃子。


業務スーパーで買った中華だし。


ぐつぐつ。


最後に。


ごま油。


そして。


卵。


二個。


「今日は豪華だな……」


奏は少し満足そうだった。


五連勤明け。


業務スーパー。


中古自転車。


今の自分は、

かなり“生きてる側”だ。


その時。


ピンポーン。


嫌な予感。


奏はゆっくり玄関を開けた。


海斗だった。


ダンボールを抱えて。


「おっす!」


「…………」


「ばあちゃんから!」


「…………」


「お前にやれって!」


箱の中。


野菜。


野菜。


野菜。


ネギ。


大根。


白菜。


玉ねぎ。


あと謎の山菜。


「多い!!!!」


「愛だよ愛」


「量がおかしいんだよ!!」


海斗は勝手に部屋へ入る。


「うお、鍋じゃん」


「触るな」


「餃子だ!」


「触るな!!」


海斗は鍋を覗き込みながら笑った。


「前給、お前生活うまくなったな」


「誰のせいでこうなったと思ってんだ」


その頃。


前給は。


ダンボールに突入していた。


「…………」


奏は、

ダンボールの奥を見つめていた。


緑。


細長い。


なんか葉っぱ。


「……これ何?」


海斗は普通に答える。


「山菜」


「いや見ればわかる」


「うまいぞ」


「どう食うんだよ」


海斗は止まった。


「…………」


「おい」


「ばあちゃんに聞けばよかったな」


「おい」


海斗は笑って誤魔化した。


「まぁなんとかなるって!」


「ならねぇよ!!」



数十分後。


検索。


『山菜 下処理』


『アク抜き』


『重曹』


『えぐみ』


「なんで食うまでにこんな工程あるんだよ!!」


奏は頭を抱えた。


スマホ。


颯太へLINE。


『助けて』


即レス。


『どうした』


『山菜が来た』


数秒後。


『草』


『草じゃねぇよ!!!』


『今から行く』


夜。


部屋。


鍋。


最初は、


* キャベツ

* もやし

* 冷凍餃子


だけだった。


だが。


海斗が追加。


白菜。


ネギ。


謎の山菜。


颯太が追加。


豆腐。


きのこ。


そして。


ビール。


「なんで増えるんだよ……」


奏は鍋を見つめる。


もはや。


“春の東北全部入り鍋”

だった。


颯太が缶を開ける。


「お疲れ」


海斗も笑う。


「五勤明けー」


「乾杯」


奏も缶を持つ。


冷えたビール。


西日の残る暑い部屋。


ぐつぐつ煮える鍋。


前給は、

エアコン前で伸びていた。


海斗が山菜を食べる。


「うまっ」


奏も恐る恐る食べる。


「……うま」


「だろ?」


「でも二度と下処理したくない」


颯太は笑った。


「生活ゲームみたいだなお前」


奏は鍋をつつきながら思う。


疲れてる。


金もない。


将来もよく分からない。


でも。


こういう夜は、

嫌いじゃなかった。

気が向いたら読んでみてください。

カクヨムにも同じ話をのせてます。

よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ