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杜の都のろくでなし〜人生いかにタコにスルメ〜  作者: 雪森蓮


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隼号購入計画

底辺作家が書く底辺生活者の話

大体実話。

Xに載せてる散文をまとめています。


颯太と海斗が帰ったあと。


静かになった部屋で、

奏はぼろぼろのカバンを引き寄せた。


チャックを開ける。


中から取り出したのは、

端の擦り切れた百均の財布。


奏は周囲を確認する。


誰もいない。


前給(猫)だけが、

じっとこちらを見ていた。


「……これは秘密だからな」


財布を開く。


千円札が、

折り目だらけのまま並んでいた。


「ひ、ふ、み……」


五百円玉。


百円玉。


小銭。


全部合わせて。


一万円。


奏は小さく息を吐いた。


銀行に入れてはいけない金だった。


口座に入れれば、

気づいた時には消えている。


引き落とし。


PayPay。


“ちょっとだけ”の積み重ね。


だから奏は、

お釣りをこっそり隠していた。


コンビニ。


スーパー。


ドラッグストア。


お釣りを少しずつ。


半年。


やっと。


一万円。


「……よし」


奏は呟く。


この金の使い道は、

もう決めていた。


自転車。


もちろん新品じゃない。


一万円で買えるのは、

近所の自転車屋の中古。


でも。


それで十分だった。


玄米を精米しに行く時。


少し遠い業務スーパー。


Suicaが尽きた朝。


歩くしかなかった道。


全部。


少しだけ楽になる。


奏は、

百均の財布を胸に抱えた。


まるで宝物みたいに。

気が向いたら読んでみてください。

カクヨムにも同じ話をのせてます。

よろしくお願いします。


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