底辺は、食わなきゃ生き残れない
底辺作家が書く底辺生活者の話
大体実話。
Xに載せてる散文をまとめています。
朝
奏はひと呼吸すると、
「んー……」
と大きく伸びをした。
起きる。
五連勤三日目。
今日も研修。
今日もロープレ。
疲れる。
非常に疲れる。
だが。
「…………」
研修とOJTが終われば。
着台判定をクリアすれば。
正式に雇用継続。
さらに。
このセンターは、
継続されるとお祝い金が出る。
しかも。
一万円。
「…………」
デカい。
かなりデカい。
家賃。
水道。
猫砂。
かなり救われる。
「これは……
絶対逃せない……」
奏は真顔で思った。
まずは。
休まず行くこと。
そこが最優先だ。
「…………」
そう考えながら、
奏は近くのシャツへ手を伸ばす。
その瞬間。
「……待てよ?」
昨日。
颯太。
事案発生源。
「…………」
奏は静かにシャツの文字を確認した。
セーフ。
今日は普通だった。
前給(猫)だけが、
足元で大きなあくびをひとつすると、
また丸くなった。
◆
昼。
ベローチェ。
海斗は営業の合間、
コーヒーを飲んでいた。
近くの席。
女性二人組。
「ねぇ、
今日の“底辺”見た?www」
「見た見たwww」
「昨日“戦力外”だったのに、
今日は“底辺”www」
海斗。
「ブッ」
危うくコーヒーを吹いた。
「でもさー、
あの人なんか嫌いになれないよねw」
「わかるwww」
「いつも死にそうな顔してるしw」
「おばちゃん達に飴もらってるよねw」
「事案発生源の時、
隣のおばちゃんチョコ渡してたwww」
海斗。
肩が震える。
耐えられない。
◆
夜。
奏の部屋。グループLINE。
「お前、
完全に職場でキャラ立ってるぞwwww」
「なんでだよ!!!」
「今日“底辺”って呼ばれてたwww」
「やめろ!!!!!!」
颯太。
「良かったじゃん」
「よくねぇよ!!!!」
前給(猫)だけが、
何も知らずにちゅーるを舐めていた。
今日も一日終わった。
なんとか。
本当になんとか、
やり過ごした。
眠かった。
半分寝てた。
ロープレ中、
魂が抜けかけてた気もする。
でも。
怒られなかった。
生き残った。
「…………」
奏は布団へ倒れ込みながら思う。
モカの量は減らした。
休みの日に完全停止したら、
本当に何も出来なくなる。
それは困る。
非常に困る。
「…………」
底辺は、
食わなきゃ生き残れないんだ。
焼肉。
豚汁。
牛丼。
からあげくん。
全部。
生存戦略。
「よし……」
だから。
僕は明日も職場へ行く。
僕と。
前給(猫)が食うための。
『おちんぎん』を、
手に入れるのだ!
前給だけが、
何も知らずに気持ちよさそうに寝ていた。
夜。
奏は冷蔵庫から、
土曜日に買ったトマトを取り出した。
切る。
さらに魚肉ソーセージ。
マヨネーズ。
「……まぁ、
今日はこんなもんでいいか……」
お昼。
焼肉。
豚汁。
普通盛り。
今日はもう、
十分食べた気もする。
奏はモソモソとトマトを齧った。
「…………」
さらに冷蔵庫を漁る。
卵。
一個。
賞味期限。
一週間前。
「…………」
奏は静かにスマホを取り出した。
検索。
『卵 賞味期限切れ 一週間』
真剣だった。
非常に真剣だった。
「……茹でれば……
いけるか……?」
数分後。
奏は、
ゆで卵へマヨネーズをかけ、
さらにモソモソ食べ始めた。
その時。
ピコン。
LINE。
颯太だった。
奏は嫌な予感しかしなかった。
なんだろう。
奏はゆで卵を齧りながら、
LINEを開いた。
颯太だった。
(=゜ω゜)ノぃょぅ
死んでるか?
お前、
今朝、前給(猫)にちゃんと飯やらなかったろ!
昼過ぎ見に行ったら、
飯碗空っぽだったぞ!
ちゃんと猫缶とチュールやっといたから感謝しろ
それから冷凍庫に、
すき焼き肉1キロ入れといたから食うなよ
金曜夜、
海斗と行くわ
後更新ちゃんとしろ
「…………」
奏は静かにスマホを見つめた。
なんで。
なんでコイツ。
昼間。
僕の部屋にいるんだ?
「…………」
怖い。
普通に怖い。
だが。
前給(猫)は満足そうに寝ていた。
「…………」
奏は冷凍庫を開ける。
本当にあった。
すき焼き肉。
1キロ。
「…………」
奏は静かにスマホを打つ。
『お前なんなんだよ』
既読。
即返信。
『ろくでなしの保護者』
「誰がろくでなしだ!!!!」
前給(猫)だけが、
何も知らずに幸せそうに丸くなっていた
気が向いたら読んでみてください。
カクヨムにも同じ話をのせてます。
よろしくお願いします。




