メルカリにしとけばよかった
底辺作家が書く底辺生活者の話
大体実話。
Xに載せてる散文をまとめています。
休憩室。
女子Aが小声で言った。
「……ねぇ」
「ん?」
「あの人」
「どの人?」
「ソックス」
「…………あぁ」
全員通じた。
奏である。
理由は、
誰も説明しない。
説明すると長いからだ。
「でも悪い人じゃないよね」
「むしろめちゃくちゃ真面目」
「この前も猫の写真見せてきたし」
「そうそう。あとなんか疲れてる」
「いつも眠そう」
「モカ飲んでる」
「わかる」
そんな会話が、
センター内女子の間で静かに交わされていた。
もちろん。
本人は知らない。
一方その頃。
奏。
「……ん?」
休憩室の隅。
カップ麺をすすりながら、
なんとなく視線を感じていた。
(なんか最近、女子の人達優しいな……)
理由は分からない。
だが。
挨拶してくれる。
飴くれる。
猫の話を聞いてくれる。
奏は静かに思った。
(社会ってあったけぇ……)
違う。
同情である。
数日後。
海斗が言った。
「なぁ前給」
「なんだよ」
「お前、職場で“ソックス”って呼ばれてるらしいぞ」
「は?」
奏は固まった。
颯太は腹を抱えて笑っている。
「ギャハハハハ!!」
「なんで!?」
「なんでって」
海斗は真顔で言った。
「靴下100足配ろうとしたからだろ」
「違う!! 誤配送!!」
「でも女子から見たら、
“突然レディース靴下配り始めた男”
なんだよな」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
奏の絶叫が、
古いアパートに響いた。
前給(猫)だけが、
静かに毛づくろいしていた。
「なんで知ってんだよ!!!」
奏は机を叩いた。
海斗はケラケラ笑っている。
「いやぁ」
「いやぁ、じゃねぇよ!!」
「なんか普通に聞いた」
「どこで!?」
「コンビニ」
「怖ぇよ!!!!」
颯太が笑いを堪えながら言う。
「お前の生活圏、狭いからな」
「仙台を村みたいに言うな!!」
海斗はまだ笑っていた。
「レジ待ちしてたら後ろの女の人達がさー」
奏は嫌な予感しかしなかった。
「“ソックスさんって猫飼ってるらしいよ”って」
「やめろぉぉぉ!!!!」
「いやもう通称として完成してんだって!」
奏は頭を抱えた。
終わった。
社会的に。
完全に。
颯太が追撃する。
「てか“さん”付けされてるだけマシじゃね?」
「慰めになってない!!」
海斗は笑いすぎて涙目だった。
「ギャハハハハ!! 前給兼ソックス!!」
「属性を増やすな!!!!」
気が向いたら読んでみてください。
カクヨムにも同じ話をのせてます。
よろしくお願いします。




