ろくでなし花見に行く その4
底辺作家が書く底辺生活者の話
大体実話。
Xに載せてる散文をまとめています。
「ちょっとばあちゃん連れて買い物行ってくるわ」
海斗が車の鍵を振った。
「お前らここで待ってろ」
「はいはい」
颯太は畳に転がる。
僕は、
まだ少し落ち着かなかった。
古い家。
広い部屋。
開け放された窓。
春の風。
なんだか、
“実家”というものの匂いがした。
テーブルの上には、
いつの間にか大量の食べ物が並んでいた。
草餅。
漬物。
煮物。
そして。
「……寿司?」
僕は目を丸くした。
海斗の祖母が、
にこにこ笑う。
「頼んどいだの〜」
「いや、こんなに……」
「若ぇんだがら食わねど〜」
東北弁は相変わらず半分しか分からない。
でも。
“食べろ”だけは、
よく伝わった。
横には、
二リットルのペットボトルのお茶が何本も置かれている。
「カイちゃん車だがら、おぢゃでいいべ〜」
「……はい」
僕は思わず頷いた。
なんだか、
逆らえない。
颯太は普通に寿司を食い始めている。
「うま」
「お前順応早ぇな」
「田舎のばあちゃん家は“食ったもん勝ち”なんだよ」
「どういう理論だよ」
その頃。
前給(猫)は。
開け放された広い部屋を全力疾走した末、
ソファで伸びていた。
毛糸玉。
座布団。
日向。
全部気に入ったらしい。
高級猫缶も、
綺麗に平らげていた。
「……お前」
僕は呆れた顔をする。
「ここ来てから一番いい暮らししてるな……」
前給(猫)は、
幸せそうに寝息を立てていた。
気が向いたら読んでみてください。
カクヨムにも同じ話をのせてます。
よろしくお願いします。




