ろくでなし、花見に行く その2
底辺作家が書く底辺生活者の話
大体実話。
Xに載せてる散文をまとめています。
柴田。
海斗の実家へ車を止め、
三人と一匹は歩いていた。
春の風。
少し汗ばむくらいの陽気。
川沿いには、
人、人、人。
「遠っ……」
僕はぼやいた。
「だから言ったろ?」
海斗は笑う。
「高校ん時ここから仙台通ってたんか……」
颯太が呆れたように言った。
「お前地味にすげぇな」
「だろ?」
「いや褒めてない」
前給はキャリーの中で、
不満そうに鳴いていた。
「ニャー」
「お前は楽だろ……」
そして。
橋を渡った瞬間。
僕は言葉を失った。
桜。
桜。
桜。
川沿いを埋め尽くす、
淡い色。
風が吹くたび、
花びらが流れていく。
遠くの山まで、
全部春だった。
「……うわ」
思わず、
声が漏れる。
海斗は笑った。
「綺麗だろ?」
僕は、
しばらく何も言わなかった。
ただ歩く。
桜の下を。
前給のキャリーを持ちながら。
屋台の匂いを嗅ぎながら。
川の音を聞きながら。
そして。
ぽつりと呟いた。
「……来年も来たいな」
その瞬間。
隣。
海斗と颯太が、
ニヤリと笑った。
僕は気づかない。
もう来年も、
再来年も。
自分が当然のように、
この輪の中へ組み込まれていることに。
気が向いたら読んでみてください。
カクヨムにも同じ話をのせてます。
よろしくお願いします。




