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ここがわたしの魔界です!  作者: 文字虎
2章:徒然とゆっくりと
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26. これは嘘つきスキルじゃないです



 ノーム人形達の小刀もしまってもらい、カオスしか存在しない場を収めたわたしは、どこに何があるのかロビ君に説明するべくロビ君と外に出る。


 当初はシマさんが案内すると申し出たが、今のところ彼との接点があまり無いわたしとしては、このままではまずいのではないだろうかと思ったので、無理を言ってでも案内役を立候補したわけであるが……。


「えーと、わたしの家の前にある家が、さっき寝込んでたウォフルさんっていう魔族の人の家でー」


「え? 魔族……?」


「……ええ、ウォフル殿は魔族ですな」


 つい口が滑ってウォフルさんが魔族だということを暴露してしまったり……。

 まあ、これに関してはここが魔の大森林なのだから、それぐらい居てもおかしくないよねってことでなんとか納得してもらえたわけだが。


「あーえっと、ここが温泉! ウンディーネさんと水を出そうとしたらサラマンダーと力が混ざっちゃってー……」


「う、ウンディーネとサラマンダーが……!?」


「――っていう言い伝えがある温泉らしいよ!?」


 わたしと精霊の二人が作り上げてしまった温泉ということが危うく露見しそうになって慌てて修正したり。


「そうそう! 水飲み場はここだよ! ウンディーネの魔神晶で作り上げられた水だから安心で……」


「魔神晶!?」


「……ま、間違えちゃったぁ! これは、シマさんが作った転送魔法の魔術具の応用で出来た、ちょっとした井戸! だよ! うん!」


 とにかくやべえ代物だと思われる魔神晶であることを口滑らしたり。


 ……自分が如何に隠し事出来ない性格なのかというのが、理解できてしまった。あ、あれぇ……どうしてこうなったの……。


・・・


「――魔の大森林には、妖精が悪戯で作り上げた文献などが良く落ちております。マキ様は、その文献を見ては鵜呑みにしてしまうところがあるのですよ。ですので、先ほどの説明は少しばかり、大袈裟に書かれた文献のことです。ただの温泉と私の魔術具でございますよ」


「あ、そうだったんですね……でもあんな綺麗な魔術具、魔神晶って言われても納得しちゃうかもしれないなぁ……すごい技術をお持ちなんですね、シマさんは」


「……お褒めに頂き光栄に思います。ですが、これもマキ様の為。まだまだ修行中の身でございますよ」


 一度わたしの家に戻り、優雅なティータイム。

 ツラツラと顔色を変えることなく、嘘八百を並べ立てるシマさんに対し、わたしは尊敬半分と呆れ半分といった複雑な表情を浮かべる。


 良くもまあ間髪入れずにあそこまで嘘を並べられるもんだなぁ……。


「マキ様もそれを見返したりしますのでね、文献はここにしっかりと残しておられます」


「わぁ、すごいです……これが妖精の作った文献!」


「……ワァイ文献、マキチャン文献ダイスキー」


「ほら、マキ様もこう言ってますし。是非ともロビ殿にもこの文献を読み解いて欲しいものです」


 自分のせいだとはいえ、なんか変な属性をつけられてしまった気がする。というか、この人いつの間にこんなもの用意したんだ。そこまでの時間はなかったはずでは?

 てか、そんな文献今まで落ちてたっけ?

 そんな疑問を抱えつつも、とりあえず形だけでも文献好きっていうのをアピールするためにもその文献を手に取り、どういうものなのかを確認する。


 やっぱり、文献っていうと小説みたいなものなのだろうか? わたしもそういうのはある程度ラノベとかで見たから気になるといえば気にな――


『ウサギの僕と狼の魔族 狼お兄さんは魔族サイズ』

『僕っ子ウサギは魔族の所有物 ~若返ってオニショタ展開!?~』


「腐ってんじゃんこの薄い本ッッ!!」


「えぇ!?」


「い、如何されましたか、マキ様!?」


 文献の表紙に載っていた文章と、それを見た際に表紙イメージらしきものが脳内にインプットされた瞬間、わたしは文献を思いっきり床にたたきつける。


 待てやこらぁ!? 文献好きのみならず腐女子設定でも付け加えるつもりかこの縞々野郎!?

 あ、いや落ち着けわたし。今、確かシマさんはすごい狼狽えていたはずだ、こんなモン用意したはずなのにその狼狽えようは些かおかしい。

 気になったわたしはジェスチャーと目力でシマさんに集合を訴えると、シマさんはそれを察知し、わたしに対して耳を寄せる。


「――シマさんあの中身なに!?」


「――流石に、私でも文章を瞬時に作り出すというのもなかなかに厳しいものがありまして……あの文献は現状に合わせた状況と、上司の書物を擦り合わせて即席で作っただけの代物です。ですが文章は妖精達の暗号ですので、現状妖精と私やマキ様しか読めないはずで……」


「――チックショウあの腐れ神ィ……!!」


 というか、多分シマさんは内容がどんだけやべえものかってのが分かってねえや! そりゃそうだあの腐れ神から作られたんだもの!

 文献をパパっと片付け、わたしはロビ君が持っていた文献もなんとか取り上げ、近場に本棚にぶち込む。

 下手にさっきのイメージ画像がロビ君にインプットされてたまるものか……!


「あーえっと、ちょっと選んだ文献は大した内容じゃなかったっぽいから、また良いもの見つけたら教えるね!」


「あ、は、はい……?」


 文献を回収し、わたしはなんとかそれっぽいことを述べて、なんとかこの場を切り抜けるのであった。


「あ、でも読めるってことはマキさんも色々知識を持ってらっしゃるんですね! 是非お教えください!」


 切り抜けられたのだろうか……。

 



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