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フクシュウとチョコレート1-17

この作品はフィクションです。

「さぁ~残り時間あとわずかっ!」

「!?」


時計の針は、もうすぐ12時。真上に到達する。


「しかーし!私に見事鍵を発見させることに成功した彼!この金庫の中に1000万が入っていれば、見事クリアーとなりますっ!」

「…は、はや、はやくっ、あけ、あけ、」

「まぁまぁそんなに焦らずに。ここが本日のクライマックスと言っても過言では無いのだから、じっくり時間かけていこうじゃないの。」

「!?!?」

「あっはっは~。じょーだんじょーだん。では早速。」



……………。



「さぁ、中には確かに札束が入っていました。しかも複数。さぁ!果たして1000万に到達出来るか否か!いよいよ!運命の!お時間!……………」

「………!……!…!」

「………………………………………」

























「……………………………です!」

「長ぇよっっっっっ!!!!!」

「あっはっは~。ごめんごめん。ちょっとやりたくなっちゃって。あ、結論から言うと、1000万無かったから。」

「……………は?」

「そして残念っ!」


かちり。


最後の針が動く音。


鳴り響く、物悲しい鐘の音。


針は、0時。


上空を、向いていた。


「タイムオーバーっっっ!!!」

「ちょ!ちょっ!ちょっと待てっ!!」

「ん?」

「そ、そんな、わけが!そんなわけねぇっ!!」

「え?なんで?」

「あ、あの金庫には、常に1000万円以上は入れてあるようにしておいてんだ!俺以外に触る奴もいねぇ!1000万円無かったなんて、んなわけあるかっ!!!」

「ん~、確かに?たくさんあったよ?お金。札束が12束と、封筒に十数枚。」

「だろ!?1200万円以上あるじゃねぇかっ!!」

「うん。1200万円は、あった。」

「1000万円以上見つけさせるのが目的なら、完全にクリアーじゃねぇかっ!!」

「確かに。見つけ出すのが1000万円以上ならね?」

「………は?」


意味がわからない様子の彼。


「じゃあ、思い出してみよう。このゲームのルールを。クリアー条件は、私に何を見つけさせることだった?」

「だ、だからっ!1000万円以上のっ」

「は?」

「金を………、…?」

「………誰が、1000万『円』って言った?」











「……………は?」

「私は、1000万、とは言ったけど、1000万円、とは言ってないわよ?」

「…………………」


絶句。そして、


「………っ………っ…………っなんだよそれぇっっっ!?」


大絶叫。


「そんなの!!んなの!!聞いてねぇっ!!」

「うん。言ってない。聞かれもしなかったし。」

「そ、そ、んなの…っ!!だ、騙しじゃねぇかっ!!こ、この………っ!クソ詐欺女っ!!」

「あんたよりはマシだと思うけどね。」

「!!」


私は、あんたがしてきたことを、ちょっとした形でやり返してあげただけ。


「自分が騙すことには何も感じないくせに、他人に騙されるのは許せないんだ。」


因果応報。自業自得。身から出たサビ。


「ゴミね。あんた。」


それじゃ、


「………落ちて死ね。」


ばいばい。


「…っ!!!!」


彼の拘束が、完全に消え去る。


重量に引かれるままに、落ちていく。


その先には、


「きゃあ嗚呼嗚呼ああっっっっっっ!!」

「まってたわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「早くぎでぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」



「うわぁぁあああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」










「あたし、あなたの目が好きなの。ずっとずっと、あたしだけを見つめていて欲しい。だから、頂戴?」


ぐちゅ


「彼に手を握られると、ドキドキするの。スベスベで優しくて温かい手。私に頂戴?」


ごきっ


「あなたの唇は私だけの物。誰にも渡さないわぁっ!!」


ぶちっ


「あなたの脚がーーーーー」

「腰がーーーーー」

「背筋がーーーーー」

「脳味噌がーーーーー」



………………………。



みるみるうちに、彼は解体されてしまった。


勿論、これは現実じゃない。彼の脳内に私が創り出した、偽りの世界。


だけど、これだけの強烈なイメージを見せつけられたら、現実の彼も、まともじゃいられないかもね。


…ま、自業自得か。


最後に、依頼人と依頼人の家族に今後一切接触しない、という暗示を脳に仕掛けて、私はその世界から立ち去った。するまでもなかったかもしれないけどね。





「……………」

「あらら。」


現実世界に戻ると、彼はぶっ倒れていた。さっき金庫を見つけたときはまだ立っていたはずだが。


まぁ、倒れても仕方ないくらいの衝撃だったとは思うけど。


「……………」

「もしもーし。」



………



反応無し。


呼吸はしているみたいだから死んではいない。けど、また起き上がれるかどうかは………。まぁ、知ったこっちゃないけど。


結果、予想以上に現金持ってたわね。これはラッキー。


依頼人に返すのが800万だから、残りの400万ちょいが、私の取り分。


これは、しばらくブランド物のチョコレートが楽しめるわねぇ~…うふ。


因果応報。気を付けていかなきゃです(>_<)。

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