フクシュウとチョコレート1-14
この作品はフィクションです。
「はぁ~い♪。」
「!?」
わざとらしく脳天気な声で登場する私。
文字盤に貼り付けられて動けない彼の目の前で、ふわふわ宙に浮かんでいる私。そんな私の姿は、簡単に説明すると、背中にコウモリの羽根が生えたコンパニオン、的な?
………まぁ、なんかテキトーにそんな感じの姿をイメージしといていただければ。うん。
とりあえず、何が起きてるのか、彼には理解できないでしょうね、今は。
「初めまして~よね?。ようこそ~、断崖の時計台へ~。」
「………は…?」
わけがわからない。が、とにかくなんとか動こうとして、ぐにぐに身体を揺らしている彼。
「このステージにやってきたあなたに、早速ルールを説明したいんだけどぉ、その前に一言。あまり動かない方がいいわよ?…下、やっばい事になってるから。」
「…!」
彼がぴたりと動きを止める。
「うかつに動きすぎて落ちちゃっても、だぁれも助けてくれないわよ?これ、大事なこと。」
「………。」
目をぱっちり見開いて、緊張感をみなぎらせている様子。
「とりあえず~…、喋れる?」
「………、…ぁ、ぃ…」
緊張し過ぎて喉が詰まっているらしい。
なんだよなんだよ~。詐欺師なんてやってる奴だから結構神経図太いと思ったら、案外ビビりでやがる。
「おっけーぃ。じゃ、ルールを説明するわね?ルールは簡単明解~。あなたが私に、1000万を見つけさせれば、ステージクリア~。やだ簡単~。」
「………は、………は?………は!?」
「見つけさせる方法は伝言によるもので~す。それにより、私があなたの部屋の中をごそごそしま~す。で、総発見金額が1000万に到達すれば、見事クリア~。どんどんぱふぱふ~。」
「………ちょ、…ちょ、と、…ちょ、」
「なお、1000万がどこにあるかわからない、あるいは、部屋の中には1000万も無い!という場合は、換金できる物でも可!いやん、太っ腹~!」
「い、意味、が、い、意味、」
「しかーし!万が一制限時間以内に1000万を私に見つけさせる事が出来なかった場合。ちょっとした罰ゲーム、が、待ち受けておりますの~。キャー怖い-!」
「だ、だか、ら!せつ、せ、説明!を!」
「では?気になる?その?罰ゲーム?とは?なんなのか?。教え、ちゃ、おっか、………な~~~~~~?」
「…はぁ、はぁ、はぁ…、すー……、はー……、」
深呼吸なんかしてやがる。こっちがせっかく大袈裟に説明してやってるというのに。
「………おい!」
あ、ちゃんと喋るようになった。
「はいはい?」
「どういうことだよ!これ!なんなんだよ!これ!」
「これ?」
「この!状況!なんで俺がこんなわけわからない状況に置かれてるのか、それを説明しろ!」
「あらあら。落ち着いた途端に強気だわねぇ。こんな状況なのに。」
「うるせぇ!!」
うるさいのはそっちだ。何でぎゃーぎゃーうるさい奴に限って、自分のことを棚に上げて、相手のことを、うるさい、と言うのだろう。
…少し黙らせてやるか。
「ぱちん。」
がくんっ!!
「!?」
指を鳴らしただけなんだけど、わかりやすく口でも擬音を言ってみた。
何をしたかと言えば、何のことはない。彼の上半身の拘束を解いただけだ。下半身は固まってるから、落ちることはない。
それでも、いきなり身体が前のめりになるのは、やっぱり怖かったらしい。
「………、」
固まってしまった。
「口の利き方には気を付けましょうね~。」
言いながら、上半身を元通り引き上げて固定してやる。体が安定したのを確認すると、彼はゆっくりとこっちを見た。
「今のあなたの状況を説明してあげるとすれば、抵抗するだけ無駄な状況。おわかり?」
「………。」
こくん、と、頷く彼。
「よろしい。素直さは宝なり。じゃあじゃあ、説明を続けてあげちゃったりしよう~。え~と、どこまで話したっけ?………ポリウレタンは焼いても美味しくないから牛タンにしとけ、ってとこからだったかしら?」
「………、」
ふるふるふる。首を振る彼。すっかり怯えてしまっている様子。
せっかちボケたんだから多少はツッコミが欲しいところだけど…。まぁいいか。
「あ、そうそう!罰ゲームだったわね~罰ゲーム。我ながらよく思い出せたわ。ナイス自分!…というわけで。早速罰ゲームの内容を発表しちゃいたいと思いまーす!」
「………。」
「はい!足下にご注目~。怖くて見られないとか言うなら無理矢理見せる。はいっ!」
がくんっ!っと、彼の頭を強引に下に向けさせる。
一瞬で顔が引きつった。この程度で引きつられては困るんだけどなぁ。
顔色変えてほしいのは、ここからなんだから。
2017年も今月で折り返し…。早いっ(>_<)




