登校初日!生存競争。
いつも読んで頂きありがとうございます!
視点がコロコロ変わってすみません。臨場感が出る様に書きたく、試してみました。
いつかは、文章の違いで分かって貰える実力をつけたい所存です。
ちょっと長くなってしまったのですが読んで頂けると嬉しいです!
グレイドとラッキー達の通った後に黒い点が積み重なっていく、そろそろ大詰めだな。
今は俺達に出来ることは、エイエ達と無事に合流できるよう祈る事。あと、帰りの為の準備だな。
「ラッキー、魔法はあとどのくらい使える?」
「俺は、今ならサンドボールが10回。魔力の回復薬をさっき飲んだが、安もんだからな。20分後くらいには15回は打てると思うぜ。そっちは?」
涼しげな顔をしてはいるが、前髪はびっしょりと額に貼りついている。長く一緒にいる仲だがここまで疲労しているのは珍しい。
「矢の残りは10本ちょい。回収して帰れりゃあ嬉しいけどよ、無理だろな。」
無事に帰れるかも分かっていないというのに、のんきな金勘定が出てくる性は抜けないらしい。そんな自分自身の発言に、呆れつつも気分を紛らわそうと同意を求める。
「ちげぇねぇ。帰ったら、ギルドに請求してみろよ。」
討伐報告ならまだしも発見報告では報奨金は期待出来る筈がない。もっと無理な事を即答出来る所は、さすが親友というとこか。
「アイボリー、残りの石は?あと火が吐けるんだっけ?」
空元気な俺達とはうって変わりまだまだ元気そうである。
『石はいっぱい。使いきらないくらい。火は......吐けるけど。火力が強すぎるから人がいる所には吐きたくない。』
「そうか。石だけでも充分すぎるくらいだよ。なら火はアイボリーのいいタイミングで使ってくれ。」
作戦会議で言い淀んでいたのは火力が不安だったかららしい。俺は、その石の火力に感謝を述べつつ切り札にもなりうる技を躊躇わず使えるように背中を押しておく。
『私のタイミングでいいの?矢も全部、燃えちゃうくらい強いよ?』
「もちろん!俺は火を吐けんからな、タイミングなんて分からん。それに、火を吐く姿が見れるなんてお伽話みたいじゃないか!何本でも矢をプレゼントしたいくらいだよ。」
「火避けとして気持ち程度に土壁も出せるぜ!まかせな、アイボリーちゃん。」
すかさず、キザに会話へ混ざるキノア。帰ったら、彼女へ言いつけてやろう。
「分かった。任せて。」
短い言葉だったが、とても力強い返事をアイボリーは返してくれた。
前方で戦況が動いた。
グレイドが盾を掲げて突進していった直後、エイエ達の防御も限界が来たようで光のベールが揺らぎ始める。
合流までの距離はあとわずか、時間の流れが突然ゆっくりになった様に感じる。
汗が頬から首筋へしたたり落ちるまでの間の数秒。
ベールが霧散すると同時にハイドスパイダー達が弾かれる。
その隙を逃さずに滑りこむグレイドとラッキー。
合流成功だ。
離れていても全員に伝わる喜びの感情。
「やったな!合流だ!」
「ああ!まだ退路には追加のハイドスパイダー達は来ていない!いける!」
『うん。』
その明るい空気は突如として切り裂かれた。
土の中から突如生えた丸太のような前足。その足を覆っている毛は柔らかそうに見えるが、持ち上げた蓋から落ちてくる土くれを弾き落としている事からその固さを否応なく想像させられる。
その前脚のヌシの姿が徐々に露わになっていく。
黒光りする複眼、クジラのように大きな体、そしてその巨体を支える8本の脚、食事中だったのだろう、その牙からは赤い液体が垂れ落ちている。
強者ゆえの自信だろう。食事を邪魔されたのが不服なのかその動きは緩慢だ。
グレイドが叫ぶ。
「ラッキー!マモダ!退路を確保しろ!エイエは俺に盾の加護を!メラトトはエイエの側を離れるな!それと、音届をツキト達の元へ!連絡をいつでも取れるようにしておいてくれ!」
「おう!」
『あいよ!』
『はい!』
『わかりました!』
各々から頼もしい返事が返ってくる。
地面が震えた。
地中から姿をあらわし終えたファーマムがその複眼で辺りを一瞥した後、体を震わせて軽い咆哮を行ったのだ。
その咆哮に応える様に、ハイドスパイダー達が広場の至る所から這い出てくる。ファーマムが出て来た大穴や森の端々からもかなりの数集まってくる。
「うげぇ。まだいたのかよ。魔法が使えなくなったら身を守るくらい程度しか俺は動けねぞ。」
想像よりも多いその数に隣のキノアは杖を根元の方へと握り直す。
「こんだけの数、従えれるって凄いな。」
『多いね。倒した数よりも居そうな気がする。』
俺は、数の多さに囲まれる未来が視える気がしてどうするかと悩んでいると音届から伝令が届いた。
「シューゴー、シューゴー」
グレイドもここまでの数は想定していなかったようだ。無理もない。
広場の真中へと駆け下り始めた最中、闘いの火蓋は切られた。
先手を取ったのはもちろんファーマム。
口を開きその暗闇のように真っ黒い口の中を見せつけたかと思うと糸の束が放たれる。
「シールドバッシュ!」
加護の効果もあって難なく地面へと弾き落とした様にみえたが、グレイドは苦悶の表情を浮かべていた。
「くっ。やはり重たいな。防ぎ落すのが精一杯か。」
自慢の一撃を防がれたのは久しぶりだったのか、糸を放った主は頭を左右にへと小刻みに振った。
目の色が黒から赤へと変わる。ただの獲物ではないと判断したようだ。
地面を巻き上げながら距離を詰め、その強靭な前脚を振り下ろしてくる。
ゴン!
轟音と共に風が吹き荒れた。離れた場所からもその振動で顔がピリつく程だ。
体の軽いハイドスパイダー達は遠くへ吹き飛ばされていった、横槍が入らなくなったのは嬉しい誤算だ。
息をつく暇もなくもう一方の前脚も振り下ろされた。
「グッ。」
その連撃にグレイドの体勢が崩れてしまう。体がのけぞり無防備な横腹をファーマムへと晒してしまう。
その隙を逃さず迫る鋭い牙。
「『あぶない!』」
近くにいたラッキー達の叫びが広場に木霊する。
グレイドへと牙が突き刺さろうとした瞬間、ファーマムが後ろへと飛びのいた。少し間がありその頭があった場所へ粉塵が巻き上がる。
俺達3人が放ったダメ元の遠距離攻撃だったが、しっかり複眼で捉えていたらしい。
リスクを冒してまで噛みつく必要はない。そう判断してくれた事が幸いした。
「『教官!』」
経緯はどうあれ。全員無事に合流は出来た。後はどうするかというのが一番の問題ではあるが。
「みんなよく合流してくれた。お前達を生徒に持てた事を誇り思う。」
そうグレイドが前置きしつつ言葉を続ける。
「聞いてくれ。俺にはもう一つスキルがある。無敵時間だ。これは一定時間、相手の攻撃を受け付けない。が。その時間中は動けない。」
俺達がその発言の意図を聞こうとするが言葉を遮るグレイド。
「つまりはだ。つぎ、俺が噛まれたら見捨てて逃げろ。」
これからも頑張ります!
読んで下さりありがとうございます!




