登校初日!冒険者たるもの。
更新が遅くなってしまい申し訳ありません。
いつも読んで下さりありがとうございます!
「俺を見捨てて逃げろ。」
皆、グレイドが放った言葉を聞いて息を飲む。
簡単に聞こえて難しい、逃げた後の末路は容易に想像出来るからだ。
「お前らを逃がす為の時間稼ぎくらいはできる筈だ。」
「っ、そんな。そんな事出来ねえよ。」最初に口を開いたのはラッキーだった。
「私達のせいでこんな事になったのに....助けてもらった上でそんな薄情な事できないわ!」エイエも続いて言葉を重ねる。
他の皆も同じ意見のようで、グレイドへと視線が集中した。
「いや、これに関しては引率の俺の責任だ気にするな。」答えるグレイドの顔に迷いはない。
「それに、見捨てないってそんな真っ直ぐな目で言えるお前らの為なら悪くない。冒険者の未来は明るいな。」
グレイドの覚悟に気圧されて全員の言葉が詰まる。
「諦めるのはまだ早いんじゃないか?」
死への実感からわずかに震える右腕を掌を強くにぎっておさえながら俺は声を張り上げた。
グレイドの覚悟を、聞いたからこそあえて戦う事を選ぶべきだと提案したのだ。
「後ろへ下がって攻撃を避けたって事は危険を感じたってことだ。囮になって噛まれてくれるなら、そこへ皆の攻撃を当てる事も可能だろう。」
「ツキト、お前達は冒険者を志望して学校に入っただけあって筋は悪くない。だが、勘違いするなよ。悪くないってだけでまだ半人前だ。ファーマムを倒すなんて無理だ。」
議論に時間をかければかける程、状況が悪くなるからだろうキツイ言葉が返ってくる。
「倒す事は考えてない。ファーマムを引かせればいいんだ。頭に集中して攻撃する。俺とキノア、アイボリーの3人で目を狙えば傷はつけれるだろう。」
「それに、俺達だけで逃げたとして森から押し寄せてきているあの数のハイドスパイダー達を相手にして逃げ切れる算段は低い。ファーマムが逃げれば、教官の勝どきで追い払えるだろう?」
「....しかし、いや。そうだな。この広場から逃げ出せたとしても物量に押しつぶされるか。だが、失敗したら全員一斉に逃げろよ。1人でも生き延びて発見報告するのが手向けだと思え。」
『「はい!」』
ラッキーとマモダに背中を預け、それぞれ配置につく。
エイエはグレイドへ防御の魔法をメラトトは俺達、遠距離攻撃組へ追い風の魔法をかけた。
準備は整った。
ここまで睨みあいの状況で止まっていたファーマムの脚が動いた。
ちいさな砂埃が起こる。
全力で突進してくるつもりか。
その巨体をブルっと震わせ尻を上へ突き上げた構えを取る。
スキル発動のタイミングを合わせれず吹き飛ばされればそこで破綻する計画、グレイドの額から冷や汗が落ちた。
次の瞬間。
ドスン。ドス、ドス、ドス。
ファーマムがこちらを向きながら後ろへ飛び跳ねながら逃げる姿を俺達は見る事になった。
「うぉおおおお!!!勝どき!!!」
呆気にとられたものの勝機を逃さんとすかさずグレイドがスキルを使う。
こちらへ押し寄せてきたハイドスパイダーの群れがピタリと止まるが散る様子はない。
「くそ。駄目か。逃げたんじゃなくて消耗させてからトドメを刺すつもりか。分からんが、足は止まったか。逃げるチャンスだな。」
苦い顔をしたグレイドが作戦変更の檄を飛ばそうと気持ちを切り替え後ろへ振り返ったその時。
アイボリーが飛び出していく。
『キノア!壁頼むね。』
『「アイボリー!?」』
颯爽と駆けてはいるが、ファーマムとアイボリーの距離はかなり離れている。
もし追いついたとしても巣の手前という所だろう。
一体なにをしようというのか。
俺がその意図を考えているとメラトトがその答えを発見した。
『なんかアイボリーちゃんの頭の上、もやもやしてない?あと心なし温かくなってきた気が。』
そう指刺した場所を見ると確かにもやもやしている。一か所に留まることなく一緒に動いている所を見ると発生源はアイボリーであるのは間違いない。
「幻影の魔法?いや。これは。」
先ほどから感じている温もりがヒリつく暑さへと変わってきた事から正解が分かった。
「蜃気楼!?言われてみれば草もしおれ始めてる!まずい!キノア!」
「おう!もう作り始めてる!皆!早く俺の後ろへ!壁に隠れろ!」
『え!?なに、いくけども!』エイエとメラトトは本能的に危険を感じたのだろう、すかさず後ろへと移動する。
「アイボリーはなにをするつもりだ?反撃をくらったら1人じゃ危ないぞ!」
グレイドも竜族の王女様が特攻していく姿に後ろ髪を引かれつつ壁の影へと隠れる。
「火を吐くって言ってたから出てこれないように巣の周りを焼きつくすんだと思う!」
ボォオオオン!
グレイドへ答え終わったと同時に大きな音が聞こえた後、熱気が通りすぎた。
広場に集まったハイドスパイダー達も散り散りに森の中へと去っていく。
足止めなんかじゃない。
アイボリーが勝ったのだと、その場の全員が肌で感じとれた。
ボロボロと役目を終えた土壁が崩れていく。
真っ赤に燃えさかる大きな花の下に、Vサインで仁王立ちしたアイボリーがそこにいた。
ようやく帰り道が見えてきました!
前回のあとがきはなぜか気が早って「長い一日でした。」と書いていたので修正しております。
また更新を頑張っていくのでぜひ宜しくお願い致します。




