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ひねくれ少女は自分の生きる意味を真剣に考えたい  作者: 日向日向
第一章「篠崎奏音は空想だけで生活したい」
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番外編「ポンコツ元奴隷 英雄になる その3」

二回目の投稿です!

スピンオフもクライマックス、明日で終幕です!



「只今戻りました!なにもなかったようですね」


 私は最初こそは自宅へ案内しようとも思いましたが、気が変わってそのままカノンさんの家に匿うことにしました。なんだかんだいってカノンさんは優しいですから、気にもかけてくれるでしょう!


「なぁ、匿ってくれるのは有難いんだけど、俺はどうしていればいいんだ?」

「休んでいればいいですよ、夜になるときっとカノンさんも帰ってきますし」

「カノン?」

「私の尊敬している人ですっ、みんなで料理を食べましょう」

「……エーデルワイスはどうするんだ?」

「ふっふっふー、私は準備をしますよ。良ければ一緒に来ますか?」


 コツコツと貯めたお金を使う時が来たようですね!





「何をしているのよ……」


 カノンさんは夜になると帰ってきましたが、帰宅するや否や、溜息を吐いています。

 余程お疲れなのでしょうか?


「カノンさん! 見てください! これでどんな相手が来ても万全ですよ!」


 そうです、私はカノンさんが帰るまで、ずっと装備品を買いだしていたのです。お金には困っていませんので、この近辺で買える最高級の防具を用意してもらいました。その古プレートを纏って、彼女の帰宅を待っていたわけです。


「エーデルワイス! かっこいいよ!」


 やはり見栄えは大事ということで、白の光沢が際立つ防具にさせてもらいました。

 まず、胴部は何層にも重ねられた最高峰の硬さを誇る金属によって盛り上がっており、どんな剣だって無傷で弾いてしまいます。また、対〈術式エイジ〉の性能も高く、弱っちい〈術式エイジ〉なら、汚れさえもつけられません。


「これでどんな敵が来ても安心ですよ」

「いや、確かにそうかもしれないけれど……貴方それ、動けるの?」

「もちろんです!」


 そう言って、私は部屋中を動いて回って見せます。

 歩くたびに金属同士が打ち合う物凄い音が鳴りますし、少し重いですが、私としてはなんてことありません。ですが……。


「いつもの貴女の速度の三分の一も出てないわよ……ダメダメじゃないの」

「た、多少遅くても、防御力は……」

「袋叩きにあって脱出できないんじゃ、脱がされて終わりよ」

「えっと、えっと」


 私としては結構自分に合った武装を選んだ筈なのですが……。


「それに、歩くたびにそんな音を立ててたら、敵を呼び寄せる格好の的よ?」

「あぅ……」


 少し客観視なさい、とカノンさんは言いました。


「それに……ここをいつ保育園にしていいと私は言った?」

「ほ、保育園だと!?」 


 ユウトさんは自身が子ども扱いされたことに憤りを感じているようで詰め寄っていますが、カノンさんの魔眼ですとんと転ばされてしまいます。


「子供とはいえ、見知らぬ人間には態度を改めなさい――そして今、貴方は誰の恩情で生かされているかを考えなさい」


 そうでした……カノンさん、すこぶるご機嫌斜めでしたね。


「まぁいいわ。それでエーデルワイス、何故彼を連れてきたの? 理由によっては貴女も追い出すけれど」

「えっと、あのですね、カノンさんもきっとお疲れでしょうからせめて疲れを癒すために皆で和気藹々と食事をしようかなと」

「……今日はもう風呂に入って眠るつもりだったんだけど」

「ですが、夕食は?」

「そんなもの、一食くらい抜いても問題ないわよ」

「だめです! ぜぇったいに食べてください!」


 カノンさんは食事を抜く傾向が強いです。

 発育途中なんですから、否が応でも食べなければなりません。実際、私の仕事はカノンさんに食べてもらってすくすく成長することにあるんですから!


「今日何度も魔力アビロイド切れ起こして、頭が今も痛いんだけど」

「だからこそです! スタミナをつけましょう!」

「ああ、もう――うるさい、わかったわかった。できるまで眠っているからおこして」

「はーい!」





 台所で準備を進めていると、所在無げなユウトさんがやってきました。


「なぁ」

「どうしました? あ、堂々とつまみ食いですか? 駄目ですよー」

「違げぇよ! ちょっとさ、ききたいことがあるんだ」


 彼は少し恥ずかしそうにもじもじとしている感じです。


「あのカノンとかいう奴さ、何なんだ? 凄い偉そうっていうか……」

「カノンさんですか? 凄い人ですよ」

「確かにすげぇ強いし、悔しいけどよ……」


 うふふ、彼はやはり年頃の男の子のようです。完封負けというか、手も足も出なかった事実が堪らないようですね。


「俺、追い出されるのか?」

「……成程」


 彼はそれ以上に不安なようです。

 自分が居場所を失ってしまうことを案じているようなのです。確かに今の彼は不安定な状態です。この居場所を失えば――彼はきっと悪者に見つかって、酷い目に遭ってしまうのですから。


「大丈夫です。明日までに、全部解決していますよ」

「あのカノンってやつは助けてくれないのか?」

「カノンさんは忙しいようですね、でもご安心ください! カノンさんに一番近い私がいますので!」 


 すると、ユウトさんはじっと私を細目で見つめてきたではありませんか。まさか、信用していませんね?

 確かにカノンさんに比べればずっとずっと弱いですが――それでもカノンさんは教えてくれました。工夫して戦えば、強さなんて物の数ではないのです。


「……なんでお前はこんなとこにいるんだよ、俺とは違って家もあるんだろ?」

「はい、ありますよ」

「じゃあなんで」

「家には誰もいませんから」


 それが別に苦でも何でもありませんけど、聴いた人は皆私に可哀そうな視線を送ってきます。


「親はいないのか?」

「うーん、昔はいましたが、あまりよく覚えていません」

「覚えていない? そんなことあるのかよ」


 やはり信じてもらえませんか……カノンさんにも聞かれていませんので、そう話していませんでした。


「はい、私、昔捨てられていたんです。そこを助けてもらって」

「なのに忘れたのか?」

「えへへ、大切な役目を貰ったことだけは覚えているんですが……」

「大切な役目?」

「はいっ!」


 要領を得ないようですね、まぁ、仕方のないでしょう。


「お前の母さん、見つかるといいな」

「……きっとどこかにいますよ」

「だけど、凄いよな、俺とそんなに年齢も変わらないのに?」

「あー、やっぱそう見えます?」


 彼に私の年齢を教えてあげると、彼は絶句と同様でおかしな言動になっていましたが、兎にも角にも彼の中の蟠りは解けたようで、楽しい食卓を囲むことができました!





 翌朝です。

 今日中に終わらせないといけませんが、どうにも情報量が乏しいのが欠点です。

 これまたカノンさんの教えですが、情報のないまま戦いに挑む真似をしたら、如何に戦力の余裕が此方側にあってもあっという間にひっくり返されてしまう、という話です。なので、何をするにしても情報分析が欠かせないのです。

 しかし、もちろんのことですが表の世界でユウトさんを追っている組織の噂が聞けるわけもありません。

 それに眉唾物の噂では駄目なんです。

 例えば組織の潜伏地とか、各地の構成員の数だとか、そういう具体的なものがなければいけません。


 というわけで、私は以前にカノンさんと赴いたスラム街に足を運びました。


「あのー、聴きたいことがあるんですが」

「ひ、ひぃぃ! お前は……あのおかしな女の……!」

「あー……」


 私の登録情報を偽装する時の騒動が既にスラム中に伝播しているようですね。よくよくその恐慌ぶりを伺うと、カノンさんの連日の襲撃も噂の対象として追加されているようで、知らぬ間にスラムを裏で統べる女帝なる扱いを受けているようです。

 その影響なのか、私も影の参謀のような扱いになっているようですね……。


「お前、何やったの……?」

「え、えへへ……」


 何故に私がスラムまで足を運んだかというと、それはこの前の情報屋さんに用があるからです。


「こんにちはー!」


 勢いよく挨拶をしました。

 最初は私と分かっていなかったため、その場違いもいいとこな挨拶をした相手を睨みつけていましたが……。


「お前……い、いえ、いらっしゃいませ……」


 店主さんも変に怖がってしまったようです。


「お願いしたいことがあるんですけれど、いいですか?」

「え、ええ」

「お金、これだけしかありませんが……」


 私は金貨十枚を差し出すと、彼はその目を仰天させてその場に転げてしまいました。リアクションが派手な方なんですね!


「いや、お前、そりゃ驚くだろ」

「そうですか?」


 確かに、少しお金を払いすぎてしまいましたかね。

 ですが、杜撰な仕事をされても困りますから、十分な投資くらいは惜しみませんよ。


「…………何がお望みなんだ?」

「あのですね! ここ最近、この辺りに亜人の皆さんが造ったといわれる変な集まりがあると聞いたんです。その情報をありったけほしいんです」

「ああ、あの救済とかを大義名分に掲げた奴らのことか、どうしてまた?」

「少しお灸をすえてやるのですよ」

「お灸、か。嫌な予感しかしないが……仕事だ、全部教えよう」





「よし、これで完璧ですね!」


 今回の作戦で必要不可欠な見取り図が手に入りました。


「どうするんだ? 地図なんか頻りに集めて」

「うふふ、弱者なりの思考ですよ」



 さぁ、準備は整いました!

 早速行動に打って出ましょう!

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