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【完結】『一騎当千』を極めた孤高の天才貴族、仕様によってただ美しく光る置物になる  作者: 山原かいな


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第10章【仲間との絆、あるいは愛の告白】

 シンとの雑魚狩りから数日後、商店に持ち込んだ素材によって作成されたアクセサリーを回収したカイトは、さっそく皆にアクセサリーの配布を開始した。

 まずは昼休みに、魔銃剣士のマリンを校舎裏に呼び出しアクセサリーを手渡した。

 「マリン、これを持っていてくれ。次のボス戦で、俺たちの命綱になる魔具だ」

 「な、何よこれ。青い綺麗な石……。アンタ、なんでこれを私に?」

 マリンが顔を赤くしてドギマギする。

 カイトは

 「お前が眠らずに銃を構えていてくれないと、俺の後方支援が成り立たないんだ」

 と、極めて真面目に戦術の重要性を説いた。

 しかし、その必死な態度が、マリンの脳内で最悪の誤翻訳を起こした。

 (――な、なによこれ!

 『俺の後方支援が成り立たない(=俺の隣にはお前が必要だ)』ってこと!?

 しかもこれ、男女が一対で持つっていうあの伝説の誓いの魔具(※ただの睡眠耐性アクセ)??

 ちょ、ちょっと待って、これって……実質、私への愛の告白じゃないのーーーっ!?

 いや、私にはあいつが…でもっ…

 あぁ神様!美しい私が悪いのね、私ってなんて罪作りなのかしら)

 「あ、あんたがそこまで言うなら、持っておいてあげてもいいわよ!

 勘違いしないでよね!」

 マリンは心臓が口から飛び出そうになるのを抑え、世界に一つだけの特別なプレゼントを貰ったと完全に舞い上がりながら、護符をポケットに大事に仕舞って走り去った。

 

 そして放課後、カイトはミリアを夕陽が差す教室に呼び出し、同じようにアクセサリーを手渡した。

 「……あの、カイトさん。これ、やっぱりお返しします……ぅ」

 夕陽差す放課後の教室。

 ミリアは涙目でうつむきながら、カイトから貰った3つの青い護符を机の上にそっと置いた。

 パーティー結成時から同じ平民出身者のカイトのことが密かに気になっていたミリア。

 しかし、昼休みに、「カイトがマリンに全く同じ護符を手渡している姿」を目撃してしまい、彼女のピュアなハートは完全に砕け散っていたのだ。

 「私……同じ平民出身なのでカイトさんに勝手に親近感をもってて、一緒にパーティーも組んで、カイトさんと戦って、お話して、カイトさんに優しい言葉とか掛けて貰って、少し自惚れちゃってたのかもしれません……。

 私、カイトさんがマリンさんにも全く同じものをプレゼントされているの、見ちゃいました。

 やっぱり私みたいな孤児は……チョロそうなんだろうなって、遊びなんだろうなって……ぅ」

 しょげて今にも泣き出しそうなミリアを見て、カイトは(うわあああ! 後衛3人分のお揃いガチビルドが最悪の二股疑惑に化けたーーーっ!!)と内心で絶叫した。

(ミリアが拗ねて護符を返却してきたら、ケートスの全体睡眠でミリアが確実に寝る!

 ミリアが寝たら状態異常回復呪文の『列リフレッシュ』が使えず、あのバカを起こせないから、少しパーティが危機になるし、下手すりゃ全滅の危険も出るんだよ!)

 余裕の勝利のはずが、戦術の崩壊(全滅)の危機。

 カイトは必死に頭を回転させ、機嫌を直してもらうための言葉を紡ぎ出した。

 「待ってくれ、ミリア!

 誤解なんだ! マリンに贈ったあの護符はね、彼女が『後衛のメンバー』であることの証として、班の全員に1つずつ渡したものなんだよ。

 ほら、俺の手元にも1つあるだろ?」

 カイトは自分用の3つの内の1つの護符を見せた。

「でも……君に贈ったのは、3つだ。

これはただの証じゃない。君は、俺たちの命を預かる唯一の治癒士だ。

 加護を重ねてでも、俺が一番、戦場で絶対に眠ってほしくないのは……他の誰でもない、君なんだよ。

だから、パーティーの証しとして1つ、コレは何処でもいいから持っていてくれればいい。

 後の2つは僕とお揃いにして、僕と同じように身につけて欲しいんだよ。」

 「――えっ、マリンさんには、班の証の1つ……。でも、私には、特別に3つ……?

 しかも、カイトさんと同じところに……」

 ミリアがぽっと顔を赤くし、潤んだ目でカイトを見上げた。

 「……はい……っ。そこまで言ってくださるなら……私、がんばって、絶対にカイトさんのために起きています……ぅ!」

 ガチ勢の全滅への恐怖から生まれた

「耐性を上げるための3個付け(ガチビルド)」が、奇跡的なまでの

「情熱的な特別扱いの殺し文句」

へと翻訳され、ミリアの胸に直撃した。

 嬉しそうに3つの護符を胸にぎゅっと抱きしめるミリア。

 なんとか戦術の破綻を免れ、カイトは心底ホッと胸を撫でおろした。

 ――そんな二人の甘酸っぱいやり取りを、教室の硝子窓の隙間から、じっと見つめる鋭い眼光があった。

 シン・スメラギである。

(ククク……。

 なるほどね、カイト。

 この僕を最高の労働力として騙して素材を集めさせ、その素材でマリンとミリアの心を弄ぶ不埒な二股ロードを走るとは…そんな暴走は、この僕が許さないよ…)

 こうして、パーティー内にかなりの勘違いを孕みつつも、ある程度はガチビルドの転生者の思惑どおりのプランが進行する。

 シンが次のボス戦で傷を負っても強制回復させられ、さらに一騎当千を強制起動させられる地獄がほぼ確定したのであった。

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