4話
ある所に、城に住む幸福な少女がいました。
家族や友人に恵まれ、何不自由ない生活を送る少女は城から出た事がなく、外の世界を知りませんでした。
ある日の事。いつも窓から入ってくる友人が言いました。──外は不幸で溢れていると。
その友人の話はとても残酷なものでした。城の外では人々が食糧を求めて争い、居場所を求めて彷徨っている…幸福な少女にとってそれは、とても想像し難い恐ろしいものでした。
その話を聞いてから、少女は毎晩祈るようになりました。どうか、皆が不幸でなくなりますように、そう星に願いをかけました。
すると、その願いを聞いた星が自らの分身である流星を世界に降らしました。そしてその流星の欠片である星片を手にした者は、次々と幸福になりました。
しかし、少女の望みは叶いませんでした。星片を悪用する輩が現れたのです。
少女は初めて不幸を知りました。今まで幸福しか知らなかった少女は、とても苦しみました。
そしてその少女の悲しみに呼応するように、ひとつの惑星が降りました。その惑星は少女を飲み込み、大きな怪物と変化し世界を滅ぼさんと猛威を振るいました。
そんな彼女を討伐せんと、星片に力を望んだものがいました。それは彼女に外の世界を教えた友人、アリシア・クライネット。自らの罪過を以て、少女を討たんという願いを聞いた星片は彼女の額に宿り、怪物を倒す力を与えました。
長い戦いの末、アリシアによって少女は討たれ、世界に平和が訪れました。
怪物を倒したアリシアは民から称えられ、後にこう呼ばれるようになりました──星片に選ばれ、拾惑を唯一打ち倒せる存在。
星黎術者と。
───
「これが、私達教会の…星片教会の起源と言われている話です」
ルリはいつの間にかに止まっていたブランコを再び漕ぎ出した。
「その少女が…昨日見た拾惑ってやつで、星黎術者ってのがルリや他の教会のシスターって事か?」
「その認識で大体合ってます。というか、なんなら兄様も半分星黎術者とも言えるでしょうね…見てください、これが私の星片です!」
そう言うとルリは足を止め、額のベールを捲り見せてきた。額には四芒星の形をしたラピスラズリの様な宝石が生えているようだった。
「ちなみに兄様も星片…ではないですが、左腕に私との契約者の印があったはずですよ!」
そう言われ、左腕のシャツの袖を捲る。焼印のような四芒星が刻まれていた。
「…なんかルリの見た後だとショボイな……」
ルリはブランコから飛び降りユウキの前に立った。
「そんな事ありません!どんな見た目であれ、救世主の証なんですから!私はあの時、貴方に出会った瞬間に確信しました──貴方こそが私と共に世界を救える偉大な星黎術者となる人だと!」
その言葉を聞いた瞬間、少しユウキは不安になった。
「…え?…もしかして、俺の事救世主とか選ばれた…とか言ってた理由って…それだけ?」
「…?はい、そうですけど…」
ルリは何を言っているのか、といった風に目を丸くしている。
「さっき言ってた星片が云々…とかじゃなくて、ルリの勘だけなのか…?」
「はい!目を見た瞬間、直感しました!」
「…そっか……」
ユウキはもしかしたら潜在能力を持っていたのかも…とどこかで期待していた。ユウキが落胆している様子をみてルリは少し困惑していた。
「…まぁそうか、別に秀でてる事がある訳でもあるまいし、変な理由つけられるよりそう言われた方が納得できる…」
「そ、そんなに肩を落として落ち込まないでください!私の勘は鋭いんですよ?なにせ百発百中ですから!」
慰めているのかどうかよく分からない事を言っている。
「まぁでも…ありがとね、期待してくれて。立派に答えられるかは分からないけど…俺は俺なりに頑張ってみようと思うよ」
「…!はい!…あ、その…改めてですが…これからよろしくお願いしますね、兄様!」




