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11話

「兄様〜!どうですか?!似合っていますか?!」

 ユウキの自宅にて。松笠学園の中等部の制服を着たルリが駆け寄ってきた。

 元々公立中学校へ通っていたルリだったが、牧師ファレノの勧めでユウキと同じ学園に転送することに決まった。

 とはいえ、現在は拾惑による建物の損傷にて1週間の休校の処置が取られているのだが…。

「ふふん、これでもう学校にいる間に拾惑に襲われてもすぐに兄様の元へ駆けつけられますね!」

「…まぁ拾惑が現れない事が1番いいんだけどな。…そういえば、この前の会議の時公安直下対策部がなんたらって話してたけど…公安ってことは警察だよな?知られてたらまずかったんじゃ…」

「いくら教主様が万能とはいえ、隠し続けるのには限界がありますからね。傷は癒せても建物は直せないので、そこらへん整合性を取るために協力関係にあるんですよ。…とはいえ、組織全体でその情報を共有している訳では無いようで、あまり面倒事は起こすなと釘を刺されているんです……特に私は何かと怒られがちで…」

 ルリは肩を落とし、しゅんとアホ毛を垂らす。

「あ、でもいい人もいますよ!確か対策部…第2課?の課長さんは飴をくれるいい人なんです!」

 思い出したかのようにアホ毛をぴょんと跳ねさせながら目を輝かせている。

「見事に餌付けされてる…」

 そんな事を話していると、携帯の着信音が鳴った。

 画面を見てみるとヒスイからの着信の様だ。

『あ…急にごめんね、ユウキ君。昨日は…大丈夫だった?』

 昨日というのは学園に拾惑が現れたことを指しているのだろう。表では犯罪グループによる一種のテロ行為…と言う事になっているとスオウが言っていた。

「あぁ、俺は大丈夫だよ…確か…不審者が校庭に爆発物を投げ込んだ…んだっけ?ヒスイも…大丈夫か?」

『…うん、私も大丈夫。それで…その、本題はここからなんだけど…来月の期末テストあるよね?休校になってるから学校にも行けないし、転校してきたばかりってのもあって心配で…明日、もし暇だったら勉強教えて貰えないかな?』

「全然構わないよ、場所は──」

『駅前の喫茶店…でどうかな?』

 図書館等を利用するのかと思っていたため、喫茶店という提案にユウキは少し驚いた。駅前…ということは、ヒスイと初めて会った時に利用した喫茶店だ。

「うん、分かった。それじゃあまた明日」

『ありがとう、ユウキ君…またね』

 電話を切った。ヒスイは少しだけ名残惜しそうな感じだった。

 不思議そうに頭を傾けるルリが聞いてくる。

「…お友達から、ですか?」

「あぁ、明日少し出かけてくる」

「そう、ですか…。…楽しんできてくださいね!」

 ルリは明るく繕っていたが、少しだけどこか寂しそうにしているように見えた。


───


「エイジュさん、もうちょい端に寄ってください!見えないじゃないですか!」

「…ちょ、ルリちゃん…あんまり押さないで…あっちから見えちゃうよ…」

 駅前にて、ルリはエイジュと共に喫茶店にいるユウキ達を尾行していた。

「今更かもしれないけど…あ、あんまりこういうの良くないんじゃない…?ユウキ君にもプライベートがある訳だし…」

 エイジュは困ったようにルリを見つめる。

 尾行することになったのは不本意で、休日に突然呼び出されて成り行きで頼まれたのだ。

 ルリは対抗するように頬を膨らませて言う。

「良くありません!兄様は私と共に世界の平和を担う者なんですよ?!救世主(兄様)の隣に立っていいのは私だけって決まってるんです!あの方がどなたか存じ上げませんが…あの距離の詰め方は異常です、兄様を誑かしているに違いありません!!どうにか私が阻止せねば!」

「えぇ…」

「あ、立ち上がりました!他の所へ移動するのでしょうか…?」

 ヒスイが立ち上がり誰かを手招くような仕草をしていた。すると、シヨウが現れた。

「あれは兄様の妹さん…?……兄様と仲が悪かったはず…なのに一体なぜ…?」

「…?ユウキ君の妹ってルリちゃんだけじゃないの?」

「私は兄様の元でシスター修行をしているだけで、実は本当の兄妹じゃないんですよ…でも心はちゃんと兄様の妹なので!」

「?ど、どういう事…?」

 エイジュは意味が分からないといった様子でユウキとルリを交互に見ている。

「それにしても一体なぜシヨウさんが……」

 すると、ルリは突然ハッと気づいたように目を丸くした。

「まさか、私に飽きてしまったとか…?!そ、そんな…シスター修行破門ですか…?」

 目元に涙を浮かべながら絶望した面持ちでユウキのいる喫茶店を眺めている。

「……多分…そういう訳じゃないと思うけど…」

「こうしてはいられません…エイジュさん、早く教会へ戻り、兄様を取り戻すべく作戦会議をしましょう!」

 そんなルリに連れられエイジュは教会に戻ることになった。最後に喫茶店に目を向けた時、何故かシヨウと目が合った気がした。

「…気付かれた…?」

「何をしてるんですか?早く行きますよ!エイジュさん!」

 もう一度見た時にはシヨウはもうこちらを見ていなかった。気のせいだったのだろう、エイジュは急いでルリの後を追った。

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