↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法使いに平穏は訪れない  作者: 三上堂 司
生徒会長冬城燈華の優雅?な一日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/348

Ex.壁から生えた髑髏 『その拾』 ゴーストハント

今回も引き続き燈華の視点です。

少しづつ動き出す燈華の日々を楽しんで頂けたら幸いです。


※Exエピソードになります。

時系列をある程度無視しておりますので、本編と関わりなく楽しめるようになっております。


加筆と修正を行いました(2025/1/16)

 入学式も無事済んでから二時間。

 協力してくれた友人たちに感謝をし、直接お礼を伝え歩く。

 その最中に教室付近へより、下準備も同時に進めておいた。


「さてと……教室棟に人の気配無し。

 秋姫(あき)の結界の準備も万全、ついでに私の準備も万全」


 問題の化け物が潜む、冬城燈華が所属する教室の入り口で再度その存在を確認をする。


 大津(おおつ)秋姫(あき)が張ってくれた結界は万全に機能しており、目撃者となる人の気配も校舎内には無い。


 西園寺(さいおんじ)(つむぎ)からもらった宝石のついたペンダントも、今か今かと蒼い輝きを放っている。


「さてと、それじゃあ行きますか。

 初めての化け物退治が通っている学校だなんて、余計な仕事を増やさないでよ」


 教室へと踏み込むべく扉を開ける。


 扉を開けた瞬間から、濃密な殺意を向けられる。

 ため息を一つ付き、扉を閉めてから恨みが強烈にこもった視線と目を合わせる。


「ハアァー、面倒だから単刀直入に言うわね。

 こんなところに居られると迷惑だからドコか別のところへ行ってもらえない?」


『お前は私が見えるのか』


「まさか口が利けるとは思っていなかったわ」


『私を見てそこまで不遜な口を利ける人間がまだこの時代にもいたとは驚きだ』


「それで、私のお願いは聞いて貰えるのかしら?」


『それは無理な相談だ。私はここから動けぬ身だ』


 思っていた以上に話してみると、思考や意思は濁ってはいないように感じる。


 これだけ意識がしっかりしているのに、放っている殺意は弱まるどころか強まる一方だ。


 紡から聞いていた通り、用心するにし過ぎということはないだろう。


「何故?」


『私をここに縛り付けた者がいるからだ』


「そう。だったら何故人を()べたの?」


 核心をつく。


 この問いかけにどう答えようとも燈華(わたし)の意思は決まっている。

 出て行かないというのなら、消し去るまでのことだ。


『何故、か。

 君は食事をするのに理由を求めるのかね?

 腹が減ったら食べる。ごく自然な事じゃないか』


「そう……だったら、アナタは私の敵という事になるのよね?」


『敵? 違うよ、君は私の食糧だ。

 君を初めて見た時から、喰べたくて、喰べたくて仕方がなかったのだ。

 その若さでそこまでの魔力量。

 君を喰べれば、私はこの敷地内を動き回ることさえ可能だと確信しているのだよ』


「いいえ、アナタは私の敵よ。

 私はね……私の邪魔をするモノ、私の前に立ち塞がるモノには容赦をしないし、敵なのよ」


『ならば、私は食事を開始するとしよう』


 こういう霊的タイプの初手は精神に対して直接恐怖を植え付けてくる。

 精神攻撃への耐性が低い者なら、恐怖に支配され動けなくなるところだ。


 読み通り、学校に取り憑いた幽霊が最初に向けてきたのは、悪意をもって恐怖という感情を引き起こす精神汚染か何かだった。

 だけど、燈華(わたし)には効かない。


「お生憎様。私にはね、精神干渉の類いは効かないのよ。

 次は、コッチの番ね」


 燈華はペンダントを外し、蒼く輝く石を握りしめる。


 既に十分過ぎる程の魔力は込めている。

 流石は魔法使いの産物。起動させるだけでも魔力をゴッソリと持っていく。


 燈華にとっては決して少なくない消費量、残った魔力でできることはせいぜい魔弾を弾く程度。

 これでダメだったら万事休す。石の中に封じられしモノと意識をつなぎ、祈りながら、協力してくれるように語り掛ける。


「さあ、来なさい勇敢(ゆうかん)なる戦士にして童話を護りしモノよ、私に力を貸して」


 蒼く輝く光は化け物の動きを阻害する。

 使い魔を召喚するまでの時間稼ぎとしてはトビキリ優秀だ。


「童話の森の魔法使いから命を受け、今一時だけ其方(そなた)に従おう」


 輝きが収まると、そこには禍々しい槍を手にし、皮鎧に身を包んだ戦士がいた。


 ただの使い魔をよこすとは思っていなかったけど、まさかお気に入りに英雄を貸してくれるとは思っていなかった。


『まさか、そこまでの神性をもったモノが人間ごときに使えているなど……有り得ぬ、有り得てはならぬ』


 壁から生えた化け物は、槍の戦士に対し精神攻撃を仕掛けるが、悪意に満ちた波動は戦士に近づく前に霧散する。

 戦士の放つ神性の前には、悪霊ごときの攻撃など届きすらしない。


 圧倒的な力量差に燈華はただ茫然(ぼうぜん)としていた。


 ここまでの差があるのかと、あまりにもの理不尽に化け物に同情すら抱いた。


「ここまでデタラメな存在なんだね、魔法使いってモノは」


『魔法使い!? まさか、その戦士は童話の魔法使いの所有物か!』


「私の主が誰と分かったところで、消えゆくお前には関係のないことだ」


 童話の魔法使いの名を聞いた時から、壁から生えた化け物の表情には恐怖の色が広がっている。


 槍の戦士が自身の獲物で一薙ぎすると、化け物の存在が一気に希薄になる。


「まさか、もう終わり?」


「これにて終幕。私は主の下へ帰らせてもらう」


 槍の戦士が消えると、壁から生えていた化け物も消えていた。


 そこに残るはずであった残滓や被害者の思念といったものも一緒に消えていた。


「全部食べて行ったの……英雄と言っても、やはり死者は死者か」


 紡が所有する童話の中に住まう英雄や化け物は、童話や神話に語られる過去の遺産。


 言ってしまえば死者に等しい。


 英雄などと大それたものの使役は燈華にはまだ荷が重いようだ。


 犠牲になった人の魂すら持って行かれてしまい、燈華はやるせない気持ちに支配されている。


「とりあえず、これで一段落ってところなのかな?

 秋姫と合流してさっさと帰ろう……」


 生徒会室で待機している秋姫と合流し、紡の待つ家に帰るとしよう。


 化け物のことも、犠牲になった者のことも、今の燈華(わたし)にどうこうできる問題じゃない。

 今は忘れても許される事を信じよう。


 その内、壁の中に埋まっているのであろう被害者達の遺骨を探り出して、粛々と片付けないといけないなぁと思いつつも、その内で良いかと今日は帰ることにした。

 

 このことを忘れかけた数か月後、教室を恐怖が包むことになるとは思いもしなかった。

燈華の視点、どうでしたか。

次の話しで長かった『Ex.壁から生えた髑髏』も終わりの予定です。

続けて投稿しますので、引き続き楽しんで頂けたらと思います。


お読み頂き、ありがとうございます。

「面白かった」「続きが気になる」等、思って頂けましたら、ブクマ・評価頂けると大変励みになります。

評価は下の方にあります、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』へと押して頂ければできますので、どうぞよろしくお願い致します。

今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。