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欠片~とある悪魔令嬢の旅日記~  作者: 蝶ノ助
表紙を開く前に
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創世神話


 かつて、世界は暗く閉ざされた球状の闇であった。

 そこに、一欠片の光が生まれた。

 その欠片は、大いなる力をもって、輝く光りの剣で世界を断ち切った。

 球状の世界は切り裂かれ、どこまでも続く空と、豊かな鉱物を含む大地が生まれた。

 世界を切り開いた一欠片の光は、自ら天に登り、空に輝く太陽となった。彼こそが、世界を切り開いた、太陽の神アギルである。


 太陽の神アギルは、大地に恵みを与えるため、木の神ソロイを産み出した。

 そして、木を育てる水を得るため、水の神リプトを産み出した。

 木の神ソロイは木や草花で大地を埋め、作物や果物を世界に与えた。

 水の神リプトは雨を降らし、大地を潤した。水を溜めた湖を、そして、水を巡らせる川を造り、その流れはやがて、大地を囲む海となった。


 太陽の神アギルは、自身の中に潜む炎を自覚した。空に輝く太陽である己が、いつかその身に宿す炎で、大地を焼きつくしてしまうのではと危惧した。そこでアギルは、自身の炎を切り離し、火の神トレオを生み出した。


 太陽の神アギルは、自身の対となる存在を求め、月の神バリンを産み出した。

 バリンのあまりの美しさに、アギルは一目で恋に落ちた。アギルの求めにバリンは応じ、二神は結ばれた。

 月の神バリンの誕生により、夜が生まれ、一日が回りだした。これにより、時間の神ヒスンが生まれた。


 時間の神ヒスンにより、世界に気候の変化が訪れた。水の神リプトが降らせた雨は、寒さによって氷の結晶となった。それらは雪として大地に降り積もり、雪の神フェルンが誕生した。


 ある日、太陽の神アギルと月の神バリンの間で喧嘩が起こった。二神の諍いは激しさを増し、やがて強い風と豪雨、そして雷が鳴り響く大きな嵐となった。これにより、嵐の神メチオが生まれた。


 自身が切り開いた世界が豊かになったことに喜んだ太陽の神アギルは、次は神々とは別の、命ある存在を、つまり生き物を造り出そうと考えた。アギルはまず、獣の神シンを産み出し、シンに生き物の創造を命じた。シンは、地上に牛や豚、羊をはじめとした獣を造り、海や川、湖には魚を造って泳がせた。


 神々以外の生きるものが造られたことにより、命の終わりである死という概念が生じた。その死を管理する神として、死の神ロイが生まれた。ロイは他の神々の力を借り、死後の世界――安寧の地であるアポシスを造り、アポシスの管理者となった。


 そして神々は、獣よりも自分達に近く、より知性的な存在を造ろうと考えた。

 十日に及ぶ会議の末に、神々は、豊かな大地より得た土に自らの唾液を混ぜ、泥人形を造り上げた。

 神々は、この泥人形に人間という名を与えた。




『聖典トーヴォ 第一章 世界の創造』より抜粋


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