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小話  作者: 鈴神楽
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論理的な欲情

欲情を論理的に話してみました。

 平和そうな家族が居た。

 エリートコースに乗り過ごしたが、家族を大切にする父。

 家のローンの為にパートもするが、家事を確りする母。

 学業が優秀で、国立大学も狙える高校生の兄。

 スポーツを頑張っている中学生の妹。

 そんな家族の夕食の場で、兄が爆弾発言をする事から話しが始まる。



「妹に欲情するので、一人暮らしを始めようと思う」

 その言葉に、他の家族が固まる。

 最初に復活したのは、母であった。

「突拍子も無い事をいきなり言うの!」

 兄は、冷静に答える。

「自分でも驚いている。もう少し自分が冷静な人間だと思っていたが、入浴後の妹の姿を見て、欲情してしまった」

 顔を赤くする妹。

「妹に欲情するなんて恥ずかしくないの!」

 母の言葉に兄は、淡々と答える。

「標準的な思考で、恥ずかしい事ではないと考えますが?」

「妹の欲情するのが一般的って言うの!」

 母の言葉にあっさり頷く兄。

「欲情の対象になる女性は、一般的に好感を持つ相手が多い。そして、家族に対する親愛の情が好感である事は、間違いないので、当然と言うべきですね」

「でも、妹よ! そんな倫理的に間違った思いが一般的だって言うの!」

 母の激情に兄は、訂正を入れる。

「近親相姦の問題は、倫理的問題では、ありません。元々は、遺伝子的問題で、近過ぎる血族との子供にも奇形児が生まれる可能性が高い為です。その為に法律で制限を設けられました」

 言葉に詰まる母に兄が続けて言う。

「今、言ったように妹との性行為は、犯罪です。それを行う可能性がある以上、それを未然に防ぐ為のアクションが必要と考えて一人暮らしを始めたいのですが?」

 本題に戻った事で落ち着いたのか父が言う。

「確かに、興奮するだけなら私にもあった。しかし、直ぐに恋人が出来て、家族にその捌け口を求める事は、無かったから大丈夫では、ないか?」

 首を横に振る兄。

「残念な事に、妹は、美少女です。クラスの女子と較べても格段上を行く妹が目の前に居るのに、それより劣るクラスメイトに性的欲求が向くとは、思えません」

「そんな事は、ないよ」

 謙遜する妹に、兄は、首を横に振る。

「自覚が無い事は、罪だぞ。クラスメイトの男子にお前の写真を見せたところ、九割の確立で写真の譲渡を頼まれた。譲渡は、しなかったが何人かの男子の欲情の対象になっている。お前には、悪い事をしたと思っている」

 顔を真っ赤にする妹。

「そんな事まで言わなくてもいいのよ! とにかく、我慢しなさい。お前を一人暮らしさせる余裕なんて無いんだから」

 母の言葉に小さく溜息を吐いて兄が答える。

「了解。予防策として、自慰行為を行うため、二十三時からの入室は、止めて下さい」

「態々言わなくて良い!」

 怒鳴る母であった。



 数日後の夕食の席、妹が熱い視線で兄を見ていた。

 その様子に視線の意味を悟り兄が言う。

「妹よ、あの夕食の会話で、私に性的興味が発生したな」

 派手にこける両親と顔を真っ赤にして否定する妹。

「そんな事は、無いもん!」

 兄は、諭すように言う。

「無理な否定は、するな。女子とは、いえ思春期だ。おかしな事では、無い。問題は、それは、恋愛感情と勘違いする事だ」

「好きじゃないもん!」

 どうみても言葉と裏腹な顔をして否定する妹に兄は、淡々と語る。

「俗に言う兄妹の禁愛の大半が単なる家族愛だ。妹と見れないのでは、無く、ただ単に独占欲と性欲があがっているだけだ」

 妹は、頬を膨らませて聞き返す。

「どう違うの?」

 兄は、少し考えてから言う。

「簡単に言えば、親愛というのは、場の維持を求める物で、恋愛というのは、新たな世界の確立だな。だから、だから、相手が離れられなという条件下ならば、親愛から肉体関係を求める場合は、少ない。親愛から肉体関係を求めるのは、単に相手が離れていかなくする為の行為でしかない。今回が良い例で、私が家を出るかもしれないという不安要素を否定する為の物だな」

 その言葉に妹が戸惑いながらも言う。

「家を出て行かないよね?」

 兄は、肩を竦めて答える。

「前回話し合ったように我が家には、その為のお金が無いから不可能だ。犯罪者になりたく無いので、欲情を誘うまねは、避けてくれると助かる」

 妹は、少し考えてから頷く。

「解った」




 こんな兄だったが、妹に欲情をしながらも冷静に性欲処理を行い、国立大学に入って寮生活を送ることになる。

 妹は、妹でいくつかの恋愛を経験後、結婚し、男子と女子の子供を産んだ。

 幸せな家庭を築く妹だったが、ある日、子供達がお互いを意識し始めた事を察知する。

 そして夕食の時、おもむろに話し始める。

「昔、お母さんは、お母さんのお兄さんに欲情された事があるの」

 空気を凍りつくのを感じながら、当時の兄がどれだけ自分や家族を大切に思っていたのかを知る。

 妹は、心底恥ずかしい現状が当時の兄の心境だったのだなと思いながら話を続けるのであった。

冷静に欲情を語る少年。

意外とこういったキャラは、好きです。

下手に隠し立てするから、変な方向に行くのであって、あからさまにしてれば、淫靡な展開には、そうそう展開しないでしょうね。

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