簡単だろう?
ホテルの予約に関するお話
これは、素人が良く使う台詞です。
どんな仕事でも素人目では、簡単でも、玄人からしたら大変な事があります。
それって理解されがたい物で、それを悩む人が多いです。
しかし、説明に悩むのは、おかしいのかもしれません。
今回の話は、そんな話。
ある客の男が、一流ホテルのフロントに部屋の予約を取ろうとしました。
「どうしてもこの条件の部屋が必要なんだ」
そういって出した条件を満たす部屋がそのホテルには、一室しかありませんでした。
ホテルとしては、そういう客を動かせない予約を取るのは、稼働率が下がる為に良しとしませんでした。
「出来るだけ、その取るという事では、どうでしょうか?」
フロントの言葉に、男は、首を横に振る。
「その条件が合わないと駄目なんだ!」
結局、その男は、そのホテルで予約をとるのを諦めて、別のホテルに行くことにしました。
次のホテルでも、男の望む条件を満たす部屋は、一室しかありませんでした。
「その部屋を予約させてくれ!」
男が切願するとフロントが頭を下げる。
「すいません、ホテルとしましては、稼働率の関係上、確約する訳には、いかないのです」
男は、肩を落として、次のホテルに向かった。
三番目のホテルで男は、無事に予約をとる事に成功しました。
そして、新居が見える部屋で、彼女に結婚を申し込み、見事に成功しました。
その後、男が結婚式をそのホテルで行う為に打ち合わせに来た時にその話をしたのです。
「他のホテルでは、稼働率とかで、予約を断られたのに、ここでは、すんなり予約してくれて本当に助かりました。ここには、条件にあった部屋がいくつもあったんですよね?」
それに対して予約を担当した女性が首を横に振る。
「違います。当ホテルでも、その条件に合致するのは、一室しかありません」
「だったらどうして?」
男の質問にその予約を担当した女性が答える。
「稼働率の話は、ホテル側の都合です。それをお客様に押し付ける訳にいきません。だからと言って、無理に予約を受けて損失するつもりも有りませんでした」
その自信たっぷりの態度に男がしつこく尋ねると予約を担当した女性が答える。
「簡単です。その他の予約を全部調整しました。実際、今回は、お客様のご予約のフロアの貸切の話が来ましたが、別のフロアの予約を全て、お客様のフロアに移して、対応しました」
それを聞いて驚き聞き返す男。
「それって物凄く大変な事じゃないのですか?」
女性は、平然と頷く。
「はい。しかし、そこで手を抜いたら、お客様の分の儲けが無くなります。ホテルの客商売です。余計な出費が出ないで、お客様が増えるのなら、いくらでも苦労します。それが、利益に繋がるのですから」
思わず納得する男であった。
今回の話、最初のホテルは、客を素人と思い、事情も説明せずに、自分達の事情だけをおしつけました。
次のホテルは、事情を説明して、理解を求めました。
最後のホテル、今回は、話の為に解説をいれましたが、説明は、しないのが普通としてます。
プロの対応として一番、いいのは、間違いなく最後のホテルです。
素人だと思って、何の説明もせずに自分達の事情を押し付けたら、それは、押し売りと変わりません。
次のホテルも、事情を説明しましたが、素人に玄人の大変さを理解させるのは、難しい上、素人のお客様は、別段理解する必要が無い事です。
プロとして求められるのは、お客様に苦労を知られず、お客様の要望を満たす事。
予約を取った女性が言ったように、苦労するだけでお客様が増えるのだったら、お客様を増やすのを選ぶのがプロの道です。
まあ、残業代などを考えると出費が発生する場合もありますが、そこらへんは、人事のプロの人が上手く考える事ですかね。
コンシェルジュって漫画の九十話で、予約の関係でホテルの事情で困った顔をし、メインヒロインがお客様に理解して欲しいというシーンがあります。
はっきりいって、何処の殿様商売だって話です。
特にその話のお客様の都合は、絶対条件です。
確約できないと言う姿勢を貫く必要があるんだったら、それも良いですけど、中途半端に困った顔するのは、お客を、事情を理解しない子供扱いする見下した態度にしか見えない。
お客様に要望に答えられない事を事情だからと勝手に納得してしまうのは、間違いでしょうね。
因みにコンシェルジュって漫画自体は、大好きです。




