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小話  作者: 鈴神楽
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生きてる意味

生きてる意味が解らなくなった。

自殺者や、生きる事に絶望した人間がよく口にする言葉。

自分が生きている事に意味があるのか?

そんな事を疑問に思った事がありませんか?

これは、そんな事を考える一人の少女のお話。

「私なんて居なくても誰も困らないでしょ?」

 いきなりの幼馴染の言葉に、言われた少年は、困った。

「いきなりだな?」

 少女は、あっさり頷く。

「でも、この頃は、何時も思う。お父さんもお母さんも居ない私は、生きている必要性なんて無いと」

 少女の両親は、一ヶ月前、事故で死亡した。

 少女は、それから親戚の家で暮らしていたが、その親戚の家では、苛められなかったが、逆に腫れ物を触るような関係が続いて居た。

 苛められてでも居たら少女は、反発心から生きる意味を見出せたかも知れないが、干渉を避けるその接し方が更なる孤独を少女に与えた。

「だからどうしたいんだ?」

 少年の言葉に少女は、戸惑った。

 少女は、無意識のうちに少年に最後の望みを託していたのだ。

 少年だけは、自分を必要としてくれていると。

 しかし少年から帰ってきた言葉は全く正反対のものだった。

「死にたいのだったら死んだら良い。俺は、それを邪魔する権利は、無い」

 その言葉に少女は、最後の希望が断たれた。

 少女は、走り、走り、走り、そして少年と一緒に通っていた中学校の屋上に居た。

「やっぱり私は、要らない人間だったんだね」

 そして、屋上の柵に手をかけた時、少女の体が引き戻される。

 振り返るとそこに少年が居た。

「どうして今更止めるの?」

 少年は、首を横に振る。

「死ぬんだったら最後に頼みがあってな、死後の世界がどうなってるか俺に教えに来てくれ」

 少女は、言葉を無くした。

「生きてる意味なんて無いかもしれないが、死んだ後に役立つ事だったらある。誰も知らない死後の世界の事を俺に教えてくれ。それを俺が本に書いて大金持ちになるんだからな」

「どうしてそんな事をしなければいけないのよ!」

 少女の反論に少年が答える。

「意味が欲しいんだろ? 自分の存在に? 生きてる意味なんて俺には、解らない。だが、死んだ後に役立ってもらう方法だったら今言った様にあるから、それを与えてやろうと言ってるんだ。何かおかしいか?」

 少女は、少年の言葉に困惑する。

「そうだ、お前、ちゃんと俺に伝えに来れるよな?」

「そんなの解らない」

 少女が戸惑いながらも答えると少年は、大げさに失望した様子を見せる。

「それじゃ駄目だ! 死ぬ前にちゃんとその方法を見に付けろ。そうしないと俺の役に立てないぞ!」

 理不尽な物言いだが、少女は、思わず頷いてしまった。

「明日から特訓だ! 毎朝、六時に起きて、お寺の掃除。きっと幽霊が多い所ならば、きっとそのヒントがある!」

 無茶苦茶な論理だったが、少女は、従ってしまった。



「どうして、死後の事を教えてくれなんて言ったのかのー?」

 住職の言葉に少年が答える。

「生きてる事だけに意味なんて無いです。生きて何をするかで意味が出てくるんです。あいつは、何かをして認めてくれる人を失って、困惑していました。あの時、俺が、何を言っても失った両親程、強く安心感が生まれる訳は、無いですよ。だから、生きてるだけの価値を否定してやりました。それで死んだ後に価値が出る方法を提示したんです」

 苦笑する住職。

「なるほどのー。安直な言葉では、同情にしかならないからの。論理的に価値が出る方法を示し、その為の行動指針を提示したのじゃな? それも絶対不可能な事を」

 頷く少年。

「不可能な事をやってる間に、そんな生きる理由なんて考えられなくしてみせますよ。主に肉体的に」

 住職は高笑いをしてから言う。

「助兵衛は、世界を救うって事じゃの」

 少年が強く頷く視線の先では、少女が貞操に危機も知らず、困惑したまま掃除を続けるのであった。

助兵衛が世界を救うって言うのは、至言です。

名誉欲や支配欲よりも性欲で動く人間の方が最終的には、子孫を残すといった自然の摂理を全うする正しい事だって意味です。

近頃は、人口が多すぎるのが問題って事もありますので一概に正しいと言えないのが悲しいですけどね。

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